処女探偵アリサのセックスシンドローム 第⑥話

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名等、名称は実在のものとは一切関係ありません

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 何らかの情報が得られないか、再び新堂宗吉にコンタクトを取ったアリサではあったが、今の彼女の前にいるのは、チンコを放り出した姿でボケーっとしている単なるボケ老人だった。
 介護士の話によるとすっかり痴呆が進んでおり、我を取り戻すのは、週に一度あるかないかと言う事らしい。
「かわいそうにねえ。たまにお孫さんが面会に来るくらいですっかり放置されているんですよ」
 シンドー産業の創業者と言う確固たる地位にあった人間も、年を取って子供に見捨てられるとこのありさまだ。
 しかし、あの日のステージ上では痴呆は感じられない毅然とした老人だったように見える。たまたま、我を取り戻した瞬間だったのだろうか。
 もしや?
 意を決したアリサは、介護士に席を外してもらうと、新堂宗吉の前で椅子に腰かけたままM字開脚をした。
 だが、相変わらず新堂宗吉は定まらない視線でボーっとしている。この老人から話を聞き出せないと終わらない!
 アリサは覚悟を決めるとパンツを脱いだ。
 すると、アリサの桃源郷を前にして、新堂宗吉の相貌に稲妻のような輝きが走った。
「ああ、見覚えのあるまんこだと思ったら先日のお嬢ちゃんか」
 アリサの読み通り、老人の我を引き戻したのはアリサのまんこだったのだ。
「まんこを見せてまでわしに話を聞きたいとは、お嬢ちゃん、相当な覚悟があるようだな」
「はい。教えてほしいんです。シンドー産業の実態と、あなたのお孫さんのことを」
 アリサは新堂宗吉の前で自らのまんこを押し広げながら、彼に問うた。
 新堂宗吉は、アリサの臭いまんこをしげしげと見つめながら、やがて力強く頷いた。
「いいだろう。わしは既に隠居した身、全てを墓場に持っていくつもりだったが、お嬢ちゃんには話さねばなるまい」
 そして、アリサにパンツを履くように促すと、ゆっくりと語りだした。
「エログッズ屋は性の手助けはしても、性を司ってはいかん。そうでなければ、愛のないセックスから生まれた子供がかわいそうだろう?」
 そんな新堂宗吉をよく思っていなかったのが、2代目である彼の息子であった。
 性商売をビジネスチャンスと感じた2代目は、新堂宗吉の意向を無視してエログッズ屋を隠れ蓑にして性風俗の支配に乗り出した。そんな2代目の暴走に歯止めをかけようとした新堂宗吉だが、ビジネス面では2代目が上手だった。
 やがて、邪魔者である父親を排除した2代目は禁断の事業に手を染めることになる。
「株も経営権も息子に奪取されてね。気づけば、隠居宣言させられていたよ。それ以来、わしもおとなしく身を引いていたのだが、あることだけが許せなかった」
「それはいったい?」
 スーツのベルトを締めながら問うアリサに、新堂宗吉は唇を噛みしめながら苦々しく答えた。
「遺伝子売買だ。今でこそ体外受精は一般的になっているが、当時は神に背く行為と言われていた。だが、シンドーはそれを商売にしたんだ。優秀な精子と卵子を集めて人工的に生命を作り出す愚かな行為をな」
 その当時、それは試験管ベビーと呼ばれていたことをアリサは知っている。思わぬ話にアリサは唇を引き締めた。
「しかし、わしは隠居した身。怪物と化したシンドーをどうこうする力は既に持っていなかった。そこに真相を探りに来た弁護士がいてな。わしは、シンドーの愚かな行為を彼に開示したんだ」
 アリサは息をのんだ。その弁護士とは・・・。
 新堂宗吉は続ける。
 結局、シンドーの行いが公になることはなかった。その弁護士が事故死したためだ。
 最後の手段を失くした新堂宗吉は、弁護士の死を弔いながら半ば監禁状態で余生を過ごさざるを得なくなってしまった。
「わしの楽しみは孫である露夢の成長だけだった。わしは事業に没頭して息子には親らしいことは何もしてやれなかった。その結果、息子は性行為を商品としか見ない怪物となってしまった。その償いのつもりだったのだろう、わしが父親、家政婦が母親に代わって孫を育てたんだ」
 ふと見ると、新堂宗吉の部屋のラックには、彼に抱っこされている幼き日の新堂露夢の写真が飾ってあった。
 アリサは、写真を手に取って在りし日の二人の姿を窺った。だが、その時、アリサの網膜に、二人の後ろに控えめに座しているある女性の姿が突き刺さってきた。
 見たことがある。しかも、つい最近。
「その女性が、露夢の母親代わりだった家政婦だ」
 私は、この女性を知っている・・・と、アリサが言おうとした時、新堂宗吉が優しく言った。
「お嬢ちゃん、もういいんだ。楽になりなさい。お嬢ちゃんの、その汚れを知らない麗しいまんこを見た瞬間にわしには全てがわかってしまったんだ」
「どういうこと・・・ですか?」
「わしは商売柄、一度見たまんこは絶対に忘れない自信がある。お嬢ちゃんのまんこは彼女に生き写しなんだよ」
 アリサには新堂宗吉の言葉の意味が理解できなかった。仮に私のまんこにそっくりな女性がいるとすれば、それは・・・
「君は、弁護士宮藤海斗と宮藤ミツコの娘だね?」
 カランと、アリサの手元から写真立てが落ちた。床に上向きに落ちた写真からは、笑顔のその女性が丁度アリサの方向に視線を向けていた。
 そんなアリサに新堂宗吉は告げた。
「その女性こそ、宮藤ミツコ、君の母親だ。顔は変わっても、まんこまでは変わってなかったと言う事だ」
 母は生きている。最大の衝撃がアリサを包み込んでいた。そして、思い当たる節がある。いや、ありすぎる。
 私に接触してきて新堂露夢と引き合わせるように段取りをした女性がいる。間違いなくこの女性だ。
 しかし、この女性は母親ではない。この女性は別の名前を名乗っている。
 更に言えば、アリサの母は父とともに交通事故で亡くなっているはずなのだ。
「表向きはな。宮藤ミツコは死んでなかったんだよ。シンドーに生かされたんだ」
 新堂宗吉は真実を語り始めた。
 もともと、名門体育大学のレスリング部コーチだった宮藤ミツコは、優秀卵子保持者としてシンドーにマークされていた存在だった。実際に、その身柄をシンドーに狙われたこともあったらしい。危機を感じた彼女は、知り合いからある弁護士を紹介された
 知り合いとは間違いない、彼女の教え子だった宮藤良介だ。良介は悩んでいるミツコに自分の兄を紹介したのだ。
 父はミツコをシンドーから守ろうとし、同時にシンドーの不正を暴くべく活動を始める。そんな二人はいつしか恋に落ちて結婚に至った。
 だが、父は首を突っ込み過ぎた。新堂宗吉から最重要機密を得た父は、やがてそれを世間に公表することなく、この世から抹殺された。
「もともと、シンドーは宮藤ミツコの卵子を欲していた。事故の影響でもとの顔がわからないような状態だったらしいが、生殖器官には異常がなかった。そして、彼女は、ここでシンドーから卵子を摘出される日々を過ごしていたというわけだ」
 必要サンプルを摘出された後は、宮藤ミツコも秘密を知る者として消されるはずだった。しかし、父を死なせてしまった償いとして、新堂宗吉が自分の世話係として、別の名前と戸籍を与えて宮藤ミツコを引き取ったと言う事だった。
 その頃から、新堂宗吉の痴呆は激しくなっていた。要介護状態になった新堂宗吉の世話と、孫である新堂露夢の世話に彼女は力を尽くした。
「彼女は過去の自分を捨てて新堂家で働いていた。そして、彼女は今のシンドーに憂いを感じるわしに全てを打ち明けてくれたよ」
 晩年に全てを失った新堂宗吉が唯一心を許したのは彼女だった。
 そして、彼女が素性を明かしたように、新堂宗吉も記憶が亡くなる前に全てを彼女に託した。それは、シンドー産業がこれまで行ってきた愚行の数々、アリサの父が追いながらも志半ばで命を落とした不正の証明だった。
 そして、新堂宗吉から決定的な情報を得た彼女は、彼が老人ホームに入ると同時に新堂家から姿を消したと言う事だった。
「露夢がわんわん泣いていたのを覚えているよ。あいつは彼女を本当の母親のように慕っていたからな」
「泣いていたんですか・・・?」
 あの無表情な新堂露夢が泣いていたとはにわかには信じられない。
 しかし、宮藤ミツコは単なる家政婦のはずである。露夢に母親はいなかったのだろうか。
「いや、子供がいる限り母親と言うものは必ず存在する。しかし、露夢は母親を知らなかったんだ」
「それはどういう?」
 新堂宗吉が咳払いをした。数々のシンドーの不正を話した後だが、この話には急に口が重くなった。
 だが、アリサの思いつめたまなざしを前に、新堂宗吉はやがて覚悟を決めたように口を開いた。
「露夢は試験管ベビーなんだ。父親は紛れもなくわしの息子だが、母親はわからない。ストックされた優秀な卵子の内の一つとしかな。あいつは、父親が様々な配合を試したうちの一人にしか過ぎないんだよ」
 アリサの脳裏に自分を冷たくあしらう新堂露夢の姿が映った。
 単なる憎むべき敵だった新堂露夢への感情が揺らいでいく自分を感じた。
「だから、あいつは母親の顔も知らず父親の愛も受けず育ってきた。だけどもな、あいつはわしの孫なんだよ。せめてわしの痴呆の発症が遅かったら、もっと父親代わりをやってやれたところなんだがな」
 新堂宗吉は遠い目をした。湧き出る悔いがひしひしと感じられた。
 やがて、西日が差し、新堂宗吉が回顧を終える頃、昭和の怪物は再び我を失った。
 そして、虚ろな視線でアリサには見えない誰かに声をかけた。
「レイコさんや、ご飯はまだかいの?」

 おかけになった番号は電源が切られているか電波の届かない場所に・・・
 あれから、葛城レイコとは一切の連絡が取れなくなっていた。
 これは依頼放棄と考えていい。しかし、今さら依頼は関係がなかった。
 見えざる力が働いたレールの上に乗っている自分だとしても、もう運行を止めることはできない。

「お姉ちゃん、さすがにエロを極めた私でもこういうのはちょっと・・・」
「ごめん、ナナ。でも、私にはナナしか頼れる人はいないの」
「そう言われると弱っちゃうな・・・」
「さあ、ナナ。思いっきりやって。お姉ちゃんを心の底からいじめて!」
 戸惑うナナの前には、全身をロープキングダムで縛られて転がっているアリサの姿があった。
「やめようよ・・・お姉ちゃん、何だかかわいそうだよ」
「やめることの方が、お姉ちゃんにとってはかわいそうなの!」
「うわーん!薄汚いメス豚ゴリラ!変態クサマン女にとっておきのご褒美をくれてやるぜ!」
 覚悟を決めたナナが、アリサの用意したセリフを棒読みしながら、手にした電光安寿丸をアリサの胸にあてる。
「んギャーーーー!!!!」
 凄まじい電流がアリサの全身を駆け巡る。
 もう何回も電光安寿丸の餌食になり、ロープキングダムで体の自由を奪われて、幾度もの屈辱をあの少年に与えられてきた。
 衝撃を耐えきる力と束縛を抜けきる技を身につけなければ、同じことの繰り返しだ。迸る怒りの電流が全身に流れきった時、きっと何にでも耐えられる無敵のストロングアリサが誕生する。
「ナナ・・・もっと出力を上げて!お姉ちゃんをしびれさせて!」
「うわーん!オマエの臭いおまんこなんて、生ごみと一緒に火曜日にだしちまえ!ごめん、お姉ちゃん!」
「あぎゃぎゃぎゃーーーーひーーーーー!」
 ナナの攻撃に、アリサは白目を剥いてよだれを流しながら悶絶する。
 しかし、光明は見えてきた。失神までには至っていない。むしろ、全身にくまなく走る針の筵のような衝撃が徐々に心の高揚を感じさせてくれるようになってきたからだ。
「いいわ、ナナ・・・もっと、もっとちょうだい!」
「うわーん!もうやめようよ、お姉ちゃんが本当にヘンタイになっちゃうよー」
「えーと・・・そういうのはパパちょっと退いちゃうなあ・・・」
 新聞を手にした良介が、ポカーンと口を上げながら姉妹を見ていた。

 椅子に座る良介の前で、アリサとナナは正座をさせられていた。
「そのー・・・何だ?パパは結構寛容な父親をやってきたつもりだけど、いくら姉妹とは言え、越えてはダメな一線があると思うんだ?」
「すみません、所長。でも、これには理由が・・・」
「理由って何?」
 横から突っ込んできたのはナナだった。
「私も嫌々だったのはわかってるよね?理由があるなら聞かせてよ」
 アリサは口をつぐんだ。答えられるはずがない。既にこれは探偵事務所の仕事ではなくて、私怨なのだから。
 だが、ナナはアリサが無言であることを予測していたように、その答えを言った。
「新堂露夢だよね?」
 妹から出た怨敵の名前に、アリサは驚いてナナを見た。
 ナナは「やめとけ」と言う良介を無視して言葉を続けた。
「あいつは、援交仲間の間では有名だったんだ。市販できないような危ないエログッズを売り付けてくる」
 シンドー産業の御曹司がそのバックボーンでアコギな商売をしている。アリサの頭の中でおぼろげだった新堂露夢の実態が明確になっていく。
「やばい商品だったんだよ。一度試せば、もう二度と引き返せないくらいエロの虜になるんだ」
 ナナの話に、アリサもそして良介も黙って耳を傾けていた。
「気づけば、あいつはエログッズを使って援交を組織化していたんだ。売り上げのほとんどが吸い取られていく」
 廃工場跡をアジトとして買い取れたり、人気歌手をたかが老人ホームの慰労会に呼べたりする、高校生にあるまじき財力の源はそれだったのだ。
「お姉ちゃんが新堂露夢の事を探っていたのは知っていた。あいつの写真があったから。ねえ?あいつに何かひどいことされたんじゃない?」
 ナナに乗じるように、今度は良介がアリサの前に歩み出た。
「なあ、お前はどう思っているかわからないけど、俺はアリサを娘だと思っている。隠し事はナシにしないか」
「それを言うなら、一番隠し事をしているのは、所長の方ですよね」
 アリサの声が低くなった。そして、睨むようにして良介を見上げる。
「お父さんとお母さんは、シンドー産業に関わっていたんですよね!?何を調べていたか、そして、なぜ消されたか、全部知ってたんでしょ!」
 新堂宗吉からすべてを聞いたアリサにとって、これまで一貫して何も語らなかった良介の存在が許せなかった。
 しばしの沈黙の後、良介は椅子に座るとタバコに火をつけた。ジッポの炎がひゅっと高く立ち上る。
「全部知っちまったんだな」
 良介の言葉とともに紫の煙が緩やかに部屋に漂う。
「奴らは下半身事情につけ込んで政財界にも深く入り込んでいる。それゆえにやばいネタもいっぱいあってな」
「例えば、試験管ベビーね」
 アリサは良介の手からタバコを奪い取ると、灰皿でもみ消した。
「前置きはいいから。なぜ、所長は全てを知りながら、私に隠していたか聞きたいのよ」
 アリサの厳しい表情に良介は重い口を小さく開いた。
「すまんアリサ。だが、お前は知るべきじゃなかったんだ」
「所長は何もしなかったの?兄の仇を取ろうとか、普通は考えるんじゃないの!?」
「シンドーから口止め料もらっていたからな」
 次の瞬間、アリサの平手打ちが良介を襲った。慌ててナナが制止に入る。
「止めて、お姉ちゃん!」
「お姉ちゃんなんて呼ぶな!」
 アリサは返す刀でナナを突き飛ばした。よろめいたナナの体を良介が受け止める。
 アリサの激昂は続く。
「アンタたちなんて血もつながっていない赤の他人だ!私は、単なるケツ毛ジャングルな小便垂れ流し変態露出まんこのクソ処女ババアなんだ!」
 既にアリサの怒りは頂点に達していた。カネで真相を闇に葬り、何も知らないふりをして家族ゲームを楽しんでいたこの二人が許せなかった。
 しかし、それ以上にシンドーに連なる新堂露夢の存在が許せない。アリサは、踵を返すと二人に一瞥もくれず走り去っていった。

 残された良介とナナは、アリサがいなくなった空間で虚無に打ちひしがれていた。
「俺ってダメなパパだな、やっぱり」
 ポツリとこぼす良介をナナが労わった。
「そんなことないよ。お金じゃないでしょ?お姉ちゃんの身を案じて黙っていたんだよね」
 良介はナナを優しく抱きしめてから席を立つと、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出した。
 その時、良介が置いた新聞を何気なく眺めていたナナが声を上げた。
「パパ!これ見て!」
 ナナから新聞を受け取った良介が、ある記事に大きく目を見開いた。
 ・・・義姉さん、遂に動いたのか・・・
 そして、缶コーヒーをポケットに突っ込むと大きく叫んだ。
「ナナ!アリサを助けに行くぞ!」
「がってんでいっ!」

 アリサは夕暮れ迫る一本道を、涙を流しながら走っていた。
 ・・・ごめん、お義父さん、ナナ。でも、これは私の本当の家族の問題なんだ。皆をこれ以上巻き込めないよ。
 新堂露夢には愛がない。愛がないこそ、あのような卑劣な行為ができるのだろうか。
 いや、それは違う。新堂露夢が自分に行った行為を振り返ると、ある共通点に気付く。
 葛城レイコの思惑はわからない。しかし、その思惑が自分にとって意味があるものならば、掌に乗せられてみるべきだ。
 アリサの眼前に、因縁の工場跡地が見えてきた。
 最終決戦が始まろうとしていた。

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