処女探偵アリサのセックスシンドローム 第②話

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名等、名称は実在のものとは一切関係ありません

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 宮藤アリサは、写真の少年の調査を着々と行っていた。
 黒のスーツに白シャツというスタイルは、アリサの肩まで伸びる長い髪とシルバーフレームの眼鏡とマッチして、さながら女刑事のようであった。
 何人かの生徒に写真を見せてあたってみたところ、あっけなく特定に行きついた。
「ああ、生徒会長だよ、この人」
 ○○高校生徒会長・新堂露夢。それがこの写真の少年の正体だった。
 高校生、しかも生徒会長まで務める少年が、女性をレイプ・・・これは、事によってはスキャンダラスなことだ。
 ただ、疑問もある。葛城レイコは見た目は若く見えるが、それでも結構な年齢だ。新堂露夢どころか自分にとっても、母親と言っても過言ではない年齢差である。
 若い女性ならまだしも、なぜそんな女性をレイプするに至ったのか。
 これは、さすがにわからない。周りから調べていくよりも、直接本人を捉まえて真意を問う方が早いかもしれない。
 その時、アリサの体に電流のような衝撃が走った。
 ・・・な、なにこれ・・・
 脚が体を支えきれずに崩れ落ちると同時に、アリサの意識は遠のいていった。

 ・・・パパたちに何かあったら、良介おじさんを頼るんだよ。
 父の言葉と母の優しいまなざしが走馬灯のように駆け巡る。
 まぶしい光によって、混濁する意識から回復したアリサは、自分の体がスーツ姿のまま椅子に縛り付けられていることに気付いた。
 そこはがらんとした空間だった。稼働していない汚れた機械と、床にうずたかく積もったほこりが無人を感じさせる。
 彼女を目覚めさせた光は天窓から注ぎ込んできた西日のようだった。
「昔はコンドームの生産工場だったんだよ」
 アリサの前に現れたのは、写真の少年こと新堂露夢と、彼に付き従うように後ろで構えている二人の男女だった。露夢は写真と変わらない白いシャツ姿だ。
「今では、僕の秘密基地だけどね」
 露夢はそう言いながらアリサの手前に立った。写真のイメージよりだいぶ小柄である。背後の二人がかなりの長身であることも影響しているように思えるが、椅子に座らされているアリサと目線の位置はそう変わらなかった。
「私・・・どうして・・・」
 まだしびれが残る口元から発せられるアリサの問いかけに、露夢は手の中のコンパクトな器具を見せながら答えた。
「これは電光安寿丸と言ってね。本来はSMプレイに使う安全なものなのだけど、出力によっては失神させることもできる」
 緩い口調で語る少年は薄笑いを浮かべながらアリサに顔を近づけた。
 切れ長な瞳と透き通るようなシミ一つない白い肌は、子供のそれだった。短い髪から覗く耳は猿のように大きい。
 アリサの調査が正しければ、この少年は自分より一回り下の17歳だ。しかし、高校生どころか成長期に入っていない小学生にも見える体格と童顔である。
 ともかくも、自分がこの少年に拉致されたことは間違いない。
「あなたが新堂露夢ね?」
 アリサは眼鏡の奥から、自分を見下ろす露夢を強気に睨みつけた。同時に体を揺するが、彼女を捕縛する細いロープは自由を全く与えてくれなかった。
「それはね、ロープキングダムと言ってSMプレイ用のロープなんだ。僕からはワンタッチで外せるんだけど、縛られた本人が抜けるのは不可能だ」
 露夢の口元が艶めかしく動く。そして、吐息がかかりそうな距離で楽しそうに言う。
「宮藤アリサ。宮藤探偵事務所に所属する探偵。独身カレシなしの27歳処女」
 露夢の言葉に、アリサの顔がかっと紅潮した。
 全ての情報が把握されている。独身カレシなしはもちろん、処女も本当だ。
 露夢は唇を楽しそうに歪ませながら、アリサが言葉にできない疑問の回答を告げる。
「気を失っている間に確認させてもらったんだ。僕、処女膜って初めて見たよ」
「な、何を言っているの・・・」
「恥ずかしいよね、アラサーなのに処女だなんてさ」
 唖然とするアリサに、露夢は爛漫な笑顔で頷いた。
 そして、露夢の指での合図に呼応して、二人の男女がアリサの背後へと回る。
「さて、本題に入ろうか」
 長身の女が、後ろからアリサの顔を両手で掴むと、その長い髪を一気にかきあげた。
 ぞくぞくとした悪寒がアリサの全身に走る。
「お姉さん、大きな耳をしているね。耳が大きい女はエッチだって聞いたことあるけど、本当かな?」
 露夢は露わになったアリサの耳に息を吹きかけるように喋り始めた。
「何か、僕のことを嗅ぎまわっているようだけど、そう言うのやめてくれないかな?」
 アリサは、露夢の言葉とともに吹きつけられる吐息の不快感に顔をしかめた。しかし、長身の女にまるで万力で絞められているかのように顔が固定されているため、アリサは身じろぎすることもできない。
 これから、自分はどうなるのだろうか。この少年のような高校生に処女を奪われてしまうのだろうか。
 別に大事にとっておいたわけではないので喪失くらいは何ともない。ただ、こんな子供に体をいいようにされることだけは屈辱だった。
 すると、次に長身の女はアリサを羽交い締めにした。その強靭な力による圧迫感に「うっ」とアリサの口から嗚咽が漏れる。
「祥子、大事なお客様だから扱いは丁重にね」
 露夢の言葉に、祥子と呼ばれた長身の女は若干力を緩めた。しかし、未だにアリサは両手を上げた格好のまま身動きが取れない。
露夢はそんなアリサの腋の下へと顔を近づけた。
「人のことを嗅ぎまわっているお姉さん。お返しに僕がお姉さんを嗅ぎまわってあげるよ」
シャツの袖越しに露夢の息遣いが腋をくすぐってくる。そのこそばさに全身総毛立つ感覚が走る。
「うん、腋はいい匂いだね。蒸れはないし、ここはちゃんと手入れできているみたいだ」
 やがて、アリサを抑えつける力が弱まった。だが、次の瞬間、更なる痛みがアリサを襲った。
 祥子に代わって、今度は褐色の肌をした大柄な男の方がアリサの両腕を自分の両脇に抱えたのだ。後ろ手に関節を取られる形になり、アリサはその痛みに思わず声を上げた。
「グーン、手加減しろよ。また、女の子を壊しちゃうぞ」
 グーンと呼ばれた褐色の巨漢は、露夢の言葉も構わずにアリサの体を後ろに反らしていく。丁度アリサの体が弓なりになり、露夢に見せつけるかのように両胸のふくらみが前面に押し出された。
 シャツを押し上げるパンパンのバストに向かって、いつの間にか正面に回っていた祥子の指が伸びた。
 そして、ゆっくりとシャツのボタンを一つずつ外していく。
「や、止めて!」
 思わず、アリサから懇願の叫びが出た。誰にもさらしたことのないバストトップ。何より、先ほどまでの行為で全身に鳥肌が立っており、同時に乳首が立ってしまっていることも恥ずかしさと恐怖に拍車をかけた。
 そんなアリサの悲鳴に、露夢の顔がますます笑顔に包まれていく。
「どうだい?嗅ぎまわられる気分は?お姉さんが、調査を止めると言ってくれるなら止めてもいいんだけど」
 しかし、祥子は構わずにアリサのシャツのボタンをすべて外すと、二本の指ではち切れんばかりのバストを覆っている純白のブラのフロントホックを器用に外した。
 満天に開放された乳房の先端でビンビンに立ったピンク色の乳首が少年の前にさらけだされた。
「へえ、さすが処女。きれいな乳首だね。僕がお姉さんのバストトップを見た初めての男になるのかな?光栄だなあ」
 露夢は鼻の穴に乳首がすっぽり収まりそうなくらいに顔を近づけると、息を吸い込んだ。
 あまりの恥辱にアリサは顔を背ける。
「おっぱいは汗臭いね。制汗処理した方がいいんじゃないかな。もっとも、いい香りがしても誰も喜んでくれる人はいないだろうけどね」
 誰にも見せたことも触らせたこともない真珠のような乳首に、子供のような少年が息で愛撫をしてくる。
 快感などはない、気肌の悪さだけだ。しかし、鼻息だけではなく、すぼめた口からひゅっと細い息を当てられると、知覚過敏の奥歯に水が触ったように体がビクンと反応とした。
 露夢はアリサの反応を見てますます喜色に満ちていく。
「もうそろそろ観念しなよ。許してください、もう二度と関わりません、って言うだけでいいんだよ」
 しかし、顔を背けて溢れる涙を必死に堪えながら、アリサは無言でNOを突き付けた。
 受けた依頼をやり遂げる責任感以上に、この悪魔のような少年に屈服することだけは、アリサの自尊心が許さなかったのだ。
 アリサの抵抗を感じ取った露夢は呆れたようにため息をついた。
「お姉さんもなかなか頑固だね。そう言うの嫌いじゃないけど、僕にも都合と言うものがあってね」
 露夢の合図に、グーンが背後からアリサを抱きかかえるようにして両腿を掴んだ。
「な、何を!?」
 次の瞬間、太い力で両腿が抱えあげられて、アリサは露夢に向かって大開脚した。
「いやああああああああああ!」
 今まで堪えていた悲鳴がマックスで上がる。パンツスーツを引っ張られて盛り上がった股間が曝け出されたのだ。
「さっき、生で見た時は気づかなかったけど、お姉さんは土手高だね。着衣越しだとよくわかるよ」
 パンツスーツがグイグイ食い込んできて股間に刺激を与えてくる。ただ、それ以上に刺激なのは自分の股間を注視する露夢の視線だ。
「お姉さんがいけないんだよ、許してくださいって素直に言わないから」
 開かれた股間に向かって露夢の顔が動いてくる。
 アリサは必死に喉の奥まで出かかっている言葉を堪えていた。
 これまで、セックスをする機会がなかったわけではない。高校生の頃、付き合っていた男もいた。
 しかし、セックスまでには至らなかった。恐れていたのだ。心のどこかで体を交えるという行為に恐怖を抱いていたのである。
 スーツ越しに露夢の吐息が自分の敏感な部分をくすぐってくる。
 あの時の恐怖感がふつふつと湧き上がってきた。自分はナナのように性行為を楽しみと割り切れない。
 しかし、それ以上にこんな子供の脅しに負けたくはない。体を失っても心だけは絶対に失ってたまるのか。私にはまだ達していない夢がある。
 アリサが徹底抗戦の覚悟を決めた次の瞬間、股間に顔をうずめようとしていた露夢が上目遣いで彼女を見上げてきた。
「お姉さんのまんこ臭い」
 え?とアリサが見下ろすと、露夢は眉間にしわを寄せながら、鼻をヒクヒクさせていた。
「納豆とチーズを混ぜたみたい。オリモノも出っぱなしだし、おしっことうんこもろくに拭き取りできてないんじゃないかな。服の上からでも相当きついよ」
 露夢の生暖かい息が股間を包む。
「人のこと嗅ぎまわる前に、自分のまんこの匂いを嗅いでみなよ。いくら使い道がないとは言っても、あそこくらいきれいにしておけば?」
 この少年は何を言っているのだろう?初対面の女性にマン臭を指摘する男がいるのか。
 アリサに恥ずかしさ以前に怒りがこみあげてきた。
「あなたにそんなこと言われる筋合いはない!」
 アリサの怒声に、露夢は哀れんだ表情で彼女を見上げた。
「かわいそうに。そりゃこれだけ臭かったから、男も寄ってこないよね。だから処女なんだ?」
「るっさい!!もっと、嗅ぎなさいよ!私の匂いでアンタを窒息させてやるわ!」
 怒りが沸点に達したアリサは、もう自分で何を言っているのかわからなかった。
 すると、露夢はすっと立ち上がった。その表情はどこかうれしそうだった。
「お姉さん、面白いね。僕も窒息死したくないから、これくらいにしておくよ」
 そして、露夢と入れ替わるように祥子がアリサの前に立った。その手には、ウェットティッシュのボトルらしきものが握られていた。
「祥子、お姉さんをきれいにしてあげて」
 すると、祥子は高速のスピードでアリサのスーツと下着を剥ぎ取った。その間わずか0.5秒。一瞬にして、アリサのまんこが西日の下にさらされた。
 更に祥子はアリサに何も言う間も与えず、ウェットティッシュで彼女のまんこを拭き始めた。
 あまりの早業にアリサは何が起こっているのか全く感覚がついていかなかったが、我を取り戻した時は、知らない男に股間を開かされて、知らない女にまんこを拭かれている状況だった。
 ただ、股間に蠢く祥子の手つきが自分に緩やかな波をもたらしていることに気付いていた。ひんやりしたティッシュの心地よさと、図らずも敏感な部分を刺激してくる祥子の指先に抵抗することもできず、体が熱くなり始めていた。
 だが、思わず蕩けだしそうになった矢先に、祥子の作業は終わった。
「マンカスだらけでした。肛門にはペーパーが残ってましたし、愛液も酸性が勝ちすぎて結構な匂いです。食生活にも問題ありですね」
 遠巻きに見ていた露夢に、祥子が事務的な口調でアリサのまんこ掃除報告をしている。
 愛液?私、そんなもの出ていたの・・・その言葉にアリサは急激に恥ずかしさを覚えた。
 グーンによる拘束も解かれて、やや自由になったアリサに対して、露夢は再び彼女の前に立つと、先ほど祥子が使ったウェットティッシュの残りを彼女の足元に置いた。
「きれいになれてよかったね。これはまんこ専用ウェットティッシュでね、実はちょっと媚薬成分も入っていたりするんだ。記念にあげるよ。だから・・・」
 露夢は、アリサを拘束しているロープを解除すると、去り際に低い言葉で言った。
「もう二度と僕には近寄るな、クソ処女ババア!」
 その表情には笑顔はなかった。嫌悪感を露わにしたまるでクソ虫でも見るかのような目だった。
 三人が姿を消した後、誰もいなくなった工場の跡地で、ようやく力を取り戻したアリサは、脱がされたパンツをはきながら、その言葉をいつまでも反芻していた。
 生まれて初めての恐怖を味わった。また、生まれて初めての感覚も覚えた。しかし、折れかかった彼女の心をつなぎとめたのは女としてのプライドだった。
 こうして、宮藤アリサと新堂露夢の闘いの火蓋が切って落とされた。お互いの感情に主導されているようで、実は数奇な運命に弄ばれていることも知らず。

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