ドライオーガズム研究部
二人でやる窒息・首絞めプレイのリスクを減らす方法——一人でやるのとは全く別物

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二人でやる窒息・首絞めプレイのリスクを減らす方法——一人でやるのとは全く別物

2018年3月17日 · 早穂

先に言っておく。この記事は「パートナーと二人でやる」窒息・首絞めプレイの話。

一人でやる窒息オナニー(自己愛性窒息性愛)に興味があるなら、この記事ではなく窒息オナニーの安全ガイドを読んでほしい。あちらは「一人でやると本当に人が死ぬ」という話を早穂が正面から書いた記事で、一人でやることは強くおすすめしない。ロープをドアノブに固定して首をくくる、袋を被る、そういう方法は今回のこの記事では一切扱わない。理由は単純で、それをやって毎年本当に人が死んでいるから。

この記事が扱うのは、パートナーがいて、意識を失ったら止めてくれる人がいる状態での話。それでも、リスクがゼロになるわけじゃない。

「安全な首絞め」は存在しない、という前提から始める

首絞めプレイの安全Q&Aにも書いた通り、医学的に「完全に安全な首絞め」は存在しない。

これは早穂の主観じゃなくて、実際にこの分野を長年見てきた専門家の一致した見解。元救急隊員で医学部にも通ったジェイ・ワイズマン氏は、窒息・首絞めプレイの医学的リスクをまとめたエッセイの中で「気道であれ頸部であれ、心停止のリスクを本質的に伴わない圧迫方法は一つも知らない」とはっきり書いている。頸動脈だけを狙えば安全、という考え方についても、彼は反論している——頸動脈の脇には血圧を感知するセンサー(頸動脈洞)があって、そこを刺激すると迷走神経を通じて心拍が止まることがある。酸素が足りなくなる前に、心臓が先に止まる可能性があるということ。しかもこれは、圧迫からわずか数秒で起こりうる。

つまり「弱い力なら」「短時間なら」安全、という単純な話ではない。これから書くことは、リスクをゼロにする方法じゃなくて、リスクを減らすための情報だと思って読んでほしい。

なぜ気持ちいいのか

首を圧迫すると脳への酸素供給が減って、意識が変容していく感覚が生まれる。これ自体は事実。

ただ、快感の正体は「酸素が減っていく間」だけじゃなくて、**圧迫を解いた瞬間に酸素とアドレナリンが一気に流れ込む「解放の高揚感」**の側面も大きいと言われている。実際にアメリカの大学生を対象にした調査(Herbenick et al., 2022年)では、プレイ経験者の8割以上が「快感・高揚感があった」と回答し、うち4割強が「頭がクラクラする感覚」、1割強が「めまいがして意識が飛びそうな感覚」を報告している。

苦しさを紛らわせるために脳が快感物質を出す、という説明だけだと片手落ちで、危険性についても「酸素不足がじわじわ来る」というより「頸動脈の反射で心臓が急に止まる」という、酸素とは別ルートの危険があることを覚えておいてほしい。この反射は、本人の「まだ大丈夫」という感覚と関係なく起こる。

プレイ前に必ず話し合っておくこと

プレイ前に向き合って話すカップル

パートナーとやる場合でも、思いつきで始めていいプレイじゃない。事前交渉が命を守る一番の武器になる。

  • お互いの持病を共有する。心臓・脳血管系の持病がある場合はリスクが跳ね上がる
  • しらふでやる。アルコールや薬は判断力と反応速度を落とす。プレイの直前直後は避ける
  • 非言語のセーフサインを決めておく。首を絞められている間は声が出せないから、腕を叩く・拳を握る・音の出るものを持つ、といった合図を事前に決めておく
  • 書面やメモで合意内容を残す人もいる。何をどこまでやるか、口約束だけで済ませない

具体的な意識喪失の前兆・緊急時の対応手順(回復体位・CPR・119番のタイミング)は首絞めプレイの安全Q&Aに詳しくまとめてあるので、プレイ前に必ず両方目を通しておいてほしい。

プレイ中に気をつけること

技法として「この持ち方なら安全」と教えることは、上で書いた通り早穂にはできない。それでも、リスクを減らす方向はある。

  • 気管(喉仏のあたり)を圧迫しない。頸動脈より気道損傷のリスクが直接的に高くなる
  • 圧迫は短時間に留める。「短ければ安全」ではないが、長ければ長いほどリスクは積み上がる
  • 絞める側は「感じる」んじゃなく「確認する」。相手の手が脱力していないか、常に見ている
  • セーフサインが出たら問答無用で解除する。迷ったら解除。ためらう時間そのものがリスク

「もっと強く」「もっと過激に」を目指す方向には進まないでほしい。慣れは耐性であって、安全になったという意味じゃない。

プレイの後、アフターケアが本番

プレイ後、温かく寄り添う時間

窒息・首絞めプレイは、終わった直後こそ気をつけるべき時間帯。

  • プレイ後30分から1時間は、相手のそばを離れない。頭痛が急に強くなる・ろれつが回らない・体の片側だけ動きが悪い、といった症状が遅れて出ることがある。これは脳卒中のサインでもあるので、見逃さない
  • サブスペース(プレイ後にぼーっとする状態)への配慮。急に明るい光や大きい音にさらさない、温かい飲み物や毛布で包む、優しく声をかけながらゆっくり現実に戻す
  • 一人にしない。深く落ち着いた状態のときほど、そばにいてあげることが大事
  • 数時間後、できれば翌日にも、もう一度体調と気持ちを確認する。恐怖や恥ずかしさは、その場では出てこず後から来ることがある

呼吸を扱うプレイのアフターケアは、他のSMプレイに比べて情報自体が少ない分野でもある。だからこそ、パートナー同士でここを丁寧にやることが、二人の信頼関係にも直結すると思う。

迷ったら、まず「触れるだけ」から

首絞めの魅力の核心は、支配感と、生死の際にいるようなスリルにあると思う。でも、それは必ずしも本当に圧迫しないと得られないものじゃない。

首に手を添えるだけで圧迫はしない、という段階から始めるのも十分にあり。心理的な支配感は、圧迫なしでもかなり残る。慣れてから、本当に必要かどうかをもう一度考えてみてほしい。

参考文献

  • Jay Wiseman, "The Medical Realities of Breath Control Play" —— 元救急隊員による窒息・首絞めプレイの医学的リスク解説エッセイ
  • Herbenick, D. et al. (2022) "Frequency, Method, Intensity, and Health Sequelae of Sexual Choking Among U.S. Undergraduate and Graduate Students," Archives of Sexual Behavior 51(6) —— 大学生を対象にした性行為中の首絞めに関する調査研究
  • Healthline "Erotic Asphyxiation: 10 Things to Know"(医療監修者記載あり)—— 窒息プレイの医学的リスクに関する一般向け解説

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