生理の血が好き・・・S系男子高生のある密かな愉しみ

[小説]1話完結

 朝から降り続いていた雨は、午後を過ぎる頃には一層の激しさを増していた。
 屋根を打つ雨音が、耳の奥で鳴り響いている。貴也は閉じていた瞼をゆっくりと開け、頭上にある染みだらけのトタン屋根を見つめた。うっすらと透けたトタン屋根から覗く空の向こうは、ただ滝のような水の流れに巻かれていた。
 貴也は少し息を吐いて、視線を下に落とした。ベンチに腰掛けた自分の足の間にすっぽりと納まり、赤く小さい舌をちろちろと陰茎に這わせる七海の視線とかち合った。リップグロスと唾液で濡れた唇の端をほんの少し上げた彼女は、大きく口を開け、亀頭全体を吸い込むように咥えた。尖らせた舌先で裏スジを押し上げる。竿の根元を押さえた細い指先は優しい律動を繰り返し、もう片方の手は、陰のうをくすぐるように弄んでいた。
 昼休み。汗と埃っぽい臭いの籠もる、サッカー部の掘立小屋のような狭い部室内。貴也は腕時計の針を一瞥すると、七海の肩に手を置き、「立って」と言った。七海は一度瞬きをしてから、ゆっくりと口から陰茎を引き抜いた。唾液がつうっと糸を引き、零れる。赤黒くてかる血管の浮き出たそれを見つめながら、七海は不満そうに唇を尖らせた。
 「なんで?よくない?」
 「いいよ。でも俺もしたい」
 そう言うと貴也は七海の脇に手をやって抱え上げ、自分の膝に座らせると、まだてらてらと濡れた彼女の唇を舐めた。難なく開いた口に舌を滑り込ませ、熱く潤った彼女の舌に吸い付いた。そのまま両手をスカートの中に入れて、ひんやりとした内太ももを撫でようとすると、七海は身体をぴくりと微動させ、「貴也くん待って、今日、私生理だから・・・」と遠慮がちに呟いた。
 貴也は「うん」と言っただけで動きを止めようとはしなかった。七海を膝立ちにさせると、短いスカートから侵入した両手でいつもよりやや厚地の生理用ショーツの上から尻や陰部を撫で擦り、ブラウス越しに胸の尖り辺りを鼻先でくすぐった。
 「んっ・・・あ、ん、ちょっと、ねえ、待って」
 彼女が生理であることは分かっていた。雨の湿った匂いに混じり、経血の臭いがしていた。つるつると滑らかなショーツの裏に貼り付いてある、無機質な、硬いナプキンの感触。それを指の腹でとんとんと軽く叩くと、恥部全体を包み込むように撫でた。ショーツと、ナプキンの向こうで息づく秘肉の温もりを感じる。恥部からはみ出た陰毛がざりざりと指に当たった。逃げを打つ七海の細い腰に腕を回し、貴也はもう一方の手の動きを進めた。下着の隙間に人差し指と中指を差しいれ、ナプキンを陰部から引き剥がすように下へゆっくりと引っ張った。
 七海は「あっ、やだ」と小さく洩らすと、ぎゅっと目をつぶった。しっとりと濡れそぼった陰毛を搔き分け、柔らかい肉の割れ目に二本の指を入れる。七海の下の唇は上と同様、あっけないほど柔々と解けて指を受け入れ、くちゅくちゅと濡れ音を響かせた。
 「これ、血だけじゃないな」
 貴也は小さく笑うと、軽く中を搔き混ぜたあと、指を抜いた。七海のスカートに触れないように、そっと手を引き、彼女の顔の前に粘つく指先を突き付けた。よりはっきりと、饐えた経血の臭いが漂う。ぐっと眉を寄せ、恥ずかしげに目を逸らす七海の長い睫毛を眺めながら、貴也は自分の指に絡みつく赤い滴りを舌で掬った。
 「立って」
 貴也の言葉に、七海は膝を震わせながらゆっくりと立った。スカートの裾を七海に持たせ、貴也は彼女の下着を下にずらした。ナプキンに染み込んだ、変色してどす黒くなった経血が見えた。その表面には透明の膜のような湿り気が残っていた。
 貴也は鼻先を、濡れて萎れた陰毛付近に近付けると、息を深く吸い込んだ。じんと、腰骨の辺りが疼く。この、女の体臭そのものとも言うべき、動物的な、何とも言えない甘さを含んだ酸っぱい臭い・・・剥き出しだった自分の陰茎に血が集まっていくのを感じながら、貴也は七海の股に顔を埋めた。
 「あっ、やっ、んん、あん、ああ、だめ、んっもう・・・」
 激しい雨音に混じり、びちゃびちゃという粘り気のある水音と、鼻声のようにくぐもった嬌声が狭い部室に響いていた。七海は貴也の肩に両手を置き、縋るように寄り掛かった。ほっそりとした白い足が、がくがくと震えている。貴也は彼女の腰を支えながら、軽く寝そべるように身をずらして距離を取り、血と体液で泡立った陰毛の中心に目を凝らした。
 薄暗い中でも分かる、真っ赤に熟れた肉の割れ目から、艶やかな鮮血が一本の糸のように、紐のように、滴り落ちてきた。それはまるで生き物のようにうねっては、貴也の高い鼻梁を濡らした。それに構わず、再び降ってくる甘露のような滴りを舌で受け、そのまま顎を上げて貴也はひくつく肉びらを食んだ。咥内に広がるじんわりとした苦味、舌の上をちりちり刺激する鉄の味が、鼻腔いっぱいに吸い込んだ芳しい匂いと相まって絶妙の甘さとなる。荒くなる男の息遣いを肌で感じる七海は、弓なりに背を反らせ目を閉じ、「もう、だめ、んんぅ・・・貴也くぅん」と腰を揺らした。
 尖らせた舌先にクリトリスを押し当ててくるその動きに、貴也はさっと唇を離し、含み笑いを浮かべながら、片手を付いて身を起こした。七海がそのまま崩れるように貴也の膝の上に座ろうとしたのを、貴也は彼女の脇下に両手を入れて遮り、地べたに座らせた。コンクリートの冷たい床に力なく尻を着けた七海の片足には、ナプキンの付いた薄いピンクのショーツが絡まっていた。
 「やべえ、もう授業始まんじゃん」
 そう言うと、貴也はその辺にあったスポーツタオルで顔を適当に拭い、張詰めていた陰茎を無理やり仕舞うと、「続きは、家、帰ってからな。今日練習ねえし」と朗らかに笑った。七海は早々と立ち上がった貴也を潤んだ瞳で恨めしそうに見つめると、しぶしぶといった様子で頷いた。身を起こし、スカートのポケットからティッシュと新しいナプキンを取り出す。スラックスのチャックを上げ、扉の方に行き掛けていた貴也は、ふと思いつき、彼女の方を振り返った。
 「なあ、それ。捨てるんなら俺にくれよ」
 「え?」
 「そ・れ」
  貴也はもうすでに乾いた人差し指をちょんちょんと撥ねさせた。乾いてはいるが、まだうっすらと赤く、そして爪の間には血がこびり付いていた。七海は貴也の指差すもの・・・自分の手のなかにある、丸めた古いナプキンに目をやり、もう一度貴也の顔を見て羞恥に眉を寄せ、泣きそうな表情を浮かべた。

  一足早く部室を出た貴也は、教室へ向かう途中の渡り廊下で立ち止まり、スラックスのポケットからねちゃねちゃとべたつく丸まったナプキンを取り出した。ショーツの接着面の部分に、コンドームの個包装がくっ付いていた。それを剥がし、ナプキンだけ鼻先に近付けると、雨の匂いとともに深く息を吸い込んだ。

 完

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