青姦カップルを覗き見する男

[小説]1話完結

 とある海浜公園は夜な夜なカップルが青姦をしていると噂の場所である。

 山田太は今日も一人、青姦しているカップルのセックスを覗き見るために車を走らせて海浜公園へとやって来た。適当な場所を探して路上駐車をし、外に降り立つ。暗闇に紛れることが出来るように黒い帽子に黒いスウェットに身を固め、ぽつりぽつりと灯る街灯を避けるように公園の中へと足を踏み入れた。

「さて、今日はどんなプレイをしてるかな」

 太には俗に言う出歯亀、覗きの趣味がある。彼が中学生の頃、草野球の帰りに公園の公衆便所で用を足していると、すぐ近くの草むらの影で若いカップルが青姦しているのを目撃した。

 女の蕩けるような目つきと、男の淫らな腰使い。その光景を見たとき、太のペニスは自分の意識とは反してムクムクと勃起し、気がつけば自分で自分のペニスをしごいて射精していた。

 それ以来、彼は覗きの虜になった。下手すれば見つかるかもしれないという緊張感と、第三者同士の決して他人には見せない卑猥な姿は、普通のセックスでは得られない快感をもたらすのだ。

 海浜公園で青姦をしているカップルは、大抵野外駐車場の奥に止められた車か、公衆便所、公園奥の木陰に居る。太はまず始めに野外駐車場でカーセックスをしているカップルを探しに出かけた。

「……居ないな」

 野外駐車場には車がまばらに止まっているがどれも無人で、セックスをしているカップルは見当たらない。カーセックスのカップルを早々に諦めた太は野外駐車場を離れ、足音を忍ばせて草むらを歩きながら怪しい人影や声を探し始めた。

 海の風と匂いを感じながら五分程歩いた頃、女の甘ったるい声が鼓膜をかすめた。

「ん、あっ……!」

 声がする方に目を向けると、散歩道から外れた木陰で何かの影がうごめくのが見えた。すかさず太は気配を消し、影の方へと近づいていく。

「っ、ふ……、う…!」

 四方を草むらに囲まれたその場所は、太もよく知っている青姦スポットだった。数メートル近くには真横から行為を覗くことが出来る木が生えていることも知っている。今日のおかずを手に入れた太は、早速木の後ろに身を隠してカップルの行為を覗くことにした。

 薄暗くてカップルの細かい容姿までははっきりとは見えないが、二十代位の若いカップルのようだった。聞き慣れない声なのでこの公園で青姦をするのは初めてなのかもしれない。女は地面に寝かされ、男がその上に覆い被さってキスをしている。興奮した男の息は荒く、女の服をたくし上げるとブラジャーの上から胸を揉みしだいている。女も口付けの合間には嬌声が漏れ、その度に口を押さえて声を出さないように我慢していた。

「はあっ……、ねえ、誰かに見つかったらどうするの?」

 口付けの合間に女は乱れた呼吸のまま、男に尋ねた。

「ここまで誰にも会わなかったんだから大丈夫だろ」

「でも、……っああ!」

 女の言葉を遮るように、男がブラジャーをずらして女の乳首に吸い付いたのが見えた。女の表情は見えないが、首を振りながら身体をのけぞらせている。青姦では積極的なカップルも居れば、女の方が恥じらっているのを無視して男が強引にセックスを進めるカップルも居る。太はどちらかと言えば後者の方が好みであり、今日の女はまさに太好みだった。

「あ、いやっ……だめッ」

 男は両方の乳首に交互に吸い付き、その度に女は口許を押さえて吐息を漏らしている。その行為を見ているだけで太は興奮し、ズボンのファスナーを下ろして勃起したペニスを取り出した。

 太が上手く呼吸を逃がしながら片手でペニスをしごき始めると、ちょうど男も女のロングスカートの中に手を入れたのが見えた。

「や、そこは、いやあ……ッ!」

 秘部に男の指が触れたのだろうか、女の声が一際高くなり、男が慌てて片手で女の口許を押さえる。

「もうびしょびしょだな。口では嫌って言ってるくせに」

 男は低い声でそう囁くと、腕を前後に動かし始めた。最初は膝を伸ばしたままだった女も、愛撫が激しくなるにつれて我慢出来なくなってきたのか、膝を立てて身もだえるようになった。膝を立てたが故にロングスカートは腰の方へとずり落ち、片脚だけ脱がされた下着と秘部を愛撫する男の手の動きが露わになる。

「……」

 太はその様子を鼓膜に焼き付け、ペニスの根元を掴んで上下に何度もしごいた。男は秘部を弄りながら乳首を吸い上げたり、鎖骨や唇にキスをしている。最初は恥じらっていた女も執拗な男の愛撫に徐々に嫌がる素振りを見せなくなり、徐々に自分から腰を動かし始めた。

「ねえ、もう……」

「もう、何だ」

「欲しいよぉ」

 太は恥じらっている女が淫乱に変わっていく姿が好きだった。興奮して息が荒くなるのを堪えながらペニスをしごく動作を続けると、先端からは先走りの液が漏れて指を濡らした。

 男は愛撫する手を止めてズボンのファスナーを下ろし、中からペニスを取り出す。女の秘部にあてがうと、女は男の首に手を回し、それを合図に男は女の秘部をペニスで貫いた。

「良いっ、あああっ!」

 女が一際高い声を上げたので男は唇で女の唇を塞ぎ、激しい口付けを交わしながら腰を上下に打ち付け始めた。女も脚を男の腰に絡め、男の動きに合わせて腰を動かす。男と女の隠しても隠しきれない卑猥な喘ぎ声が太の方まで伝わってくる。

「……っ」

「凄い、気持ちいいのぉっ……」

 女の蕩けきった声と、今目の前で男女がセックスしているという事実が太の覗きの欲望を満たして射精感を募らせる。それでも太はカップルのセックスが終わるまで射精はしないことにしていた。二人が知らないところで覗き見ているという優越感に浸りながら、セックスを疑似体験する方がより興奮するからだ。

 射精しそうなぎりぎりのところで快楽を楽しんでいる間、カップルは暗闇の中で正常位や側位で交わり、衣服の乱れもどんどんと激しくなっていく。しばらく経つと、男は急に上体を起こして正常位に戻り、女の腰を掴んで打ち付けるスピードを速めた。

「もうイキそうだ、中に出すぞっ」

「や、だめっ、今日は安全日じゃないから……!」

 快楽に身もだえていた女の声に急に焦りの色がにじみ出たが、男は打ち付けるスピードをそのままに、しっかりと腰を掴んで体勢を固定した。太が見てきたカップルは殆どが外出しや顔射だったので、中出しカップルに出会ったことは幸運なことだった。

「ねえ、あっ、だめッ、お願いっ……そんなに強く、しないでぇッ、イッちゃう!」

「っほら、イけよ……、孕めっ」

 男が一際強く腰を打ち付けると、女は身体を大きくのけぞらせて、

「んあっ、や、イく、ッ……あぁあああん!」

 と絶頂を迎えた。女の声と共に、男も短いうめき声を上げて動きを止める。本当に中に出したようだった。太は中出しした瞬間を思い浮かべると、堪っていた精液を木の幹にぶちまけ、全身を駆け巡る快楽をしばしの間楽しんだ。

「もう、中出ししないでって、言ったのに……」

 女がか細い声でそう呟くと、男はペニスを引き抜いて呼吸が落ち着くのを待った。青姦を終えたカップルはその場に長居することはない。太は手早くポケットティッシュで亀頭を拭うと、男女がこちらに気付かないうちにその場を立ち去った。

「今日はラッキーだったな」

 太は満足げに呟くと、帽子を被り直し、自分が止めてある車に向かって足早に歩いていった。

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