見下していた男のオナホにされてしまう

[小説]1話完結

 半年前に彼氏と別れてからしばらくご無沙汰だったけれど、この男とは絶対に無理だと思った。
 薄汚れた作業着、金髪、焼けた肌。私の大嫌いな肉体労働者そのものだ。

 そんなブルーカラーの男に告白されたのはおとといのバイト中だった。

 早朝、コンビニのレジ打ちの最中に告白をされて(どうしてこんな忙しい時間に……)と頭に来た私は
「ドカタなんて最悪。一流企業に勤めてから出直してきてください」
と、こっぴどく振ってしまった。

 今日のバイトが終わり、帰路につく。すると例の男が、小路に立ち、こちらを見ていることに気がついた。。
 少し嫌な気はしたけれど、ここで道を引き返して意識をしていると思われてもシャクなので、私は平然と男の側を通りすぎることにした。

 するとすれ違う瞬間、どう猛な肉食獣のような肉体の男に捕らえられ、私は路肩に停めてあったハイエースの中に連れ込まれてしまった。

「やめて! 離してっ!」

 鍛え上げられた実用的な筋肉に抱きすくめられ、私は身動きがとれない。ただの女が、肉体労働を生業としている男に太刀打ちできるはずがなかった。

「うるせえんだよ!!黙れ!!」

 男は鋭く怒鳴り、私の頬を二度打った。涙があふれる。

「このあいだのことなら謝りますから……! お願いします止めてください!」
「この野郎……! 馬鹿にしやがって! お前なんかぶち犯してやるからな!」

 男は私の髪の毛を乱暴に掴み上げると、強引にキスをしてくる。唾液を沢山まとわせた舌に口の中をかき回されると、ぐちゃぐちゃと音がなり鳥肌が立った。時折当たる髭がゾッとするほど男くさい。

 泣きながら「勘弁してください」と懇願したが、男は掴んだままの私の頭を数度シートに打ち付ける。

 抵抗をやめた拍子にブラウスを引き裂かれ、ボタンが方々に飛び、自慢のEカップの乳房があらわになってしまう。
 前の彼氏に誉められたピンクのブラを剥ぎ取ると、男は私のおっぱいに顔を埋めた。

 その頃には恐怖で抵抗する気も失せ、されるがままになってしまっていた。

 くちゅくちゅと口の中で左の乳首を転がされ、反対側は指で摘ままれる。するといじられるたびに、しびれるような感覚が生まれ始める。

 こんな状況だというのに徐々に性感が高まってくることに気がついた。

 むしろ普段より感じてしまっているような……。
 感じちゃダメ……! 感じるな……!

 そう自分に言い聞かせるけれど、陰部がだんだんと湿り気を帯びてくる。

「あんっ……!」

 声が我慢できない……。

「無理やりされて感じてンのか? あ?」
「違うっ! ヤダっ! そんなことないっ!」
「足もじもじさせて、何が違うんっていうんだよ! 感じてンのがバレバレなんだよ変態女!」

 罵倒されて初めて、両足を物欲しそうに擦り合わせていることに気がついた。

 男はニヤニヤとバカにしたように笑い、私のアソコへと手を伸ばしてきた。触られないように抵抗をしたけれど数秒しか保たず、男の分厚い指が、下着へと届いてしまう。

「なぁんだこりゃ! びしょ濡れじゃねぇかよ!」

 羞恥で顔に熱が集まる。
 濡れた下着をおざなりに取り払うと、男は私の溢れる愛液にまみれた指を中に突き立てた。

「ぁああっ……! イヤっ、イヤっ……!」

 感じたくない。そう思っても心とは裏腹に体は悦楽の火を灯してしまっている。

 こっちのことを考えていない、思いやりの欠片もない愛撫だけれど、なぜか何をされてもよがってしまう。

 見下していた肉体労働者そのものの、酷使された強い指。それが私の体内に入っている……。
 それを自覚すると急激に快楽がふくらみ……

「ああんっ! ダメ、…ぁあああああ!」

 愛液を下品に撒き散らしながら、私は絶頂を迎えてしまった。

「ハハ、指突っ込まれただけでイってやがる……!」

 男は陰部から抜いたばかりの濡れそぼった指を嫌そうに眺める。それから私の頬に指を押し付け愛液を拭いた。

 放心している隙に、男はズボンから怒張を取りだしアソコにあてがった。
 その行為に気づいた途端、また愛液が壊れた壊れた蛇口のように吹き出した。

「なんだ? 期待してんのか?」

 男が嗜虐に富んだ笑みで私を見下ろす。

「本当に勘弁してください! それだけはやめて!」
「こんなに物欲しそうにしておいて何言ってやがるんだよ淫乱女!」

 制止を無視し、男は勃起したイチモツを一気に私の中へ……

「……ぁあああぁああっ!」

 頭の中が溶けてしまう。
 男のモノは、今まで経験した誰のモノよりも大きい。初めて触れられる奥にぐいっとチンポを当てられただけで、いとも容易く私は絶頂してしまった。

「あっあんっ、ダメ、ダメっ、変になるぅ……っ!」

 収縮する膣の中をずりずりと擦られ、快楽と言うよりももっと膨大な熱が下腹部から膨れ、指の先まで電流のように流れる。

 腰が変。変になっちゃってる……!

 無意識に腰が揺れている。
 体を打ち付けられ深く挿入されるたびに、私の腰は跳ね上がり男の鼠径部にかくかくと尻を擦り遇わせる。まるで盛りのついたオスの犬のようにみっともなく……。

「サカってんじゃねぇぞ! 変態女!」

 男はまた私の頬を叩いた。
 するとまた強い快楽の波に支配され私はイってしまう。

 普通じゃない。普通じゃないの。こんなこと普通じゃありえない。
 極限状態で頭が壊れてしまったんだ。きっとそう。だからこんなに乱暴にされて感じてしまうの。私は変態なんかじゃない。

 男が私の首を締める。酸素の供給が格段に減り、視界が明滅する。息苦しさが、何故か性感に直結する。

 男のモノが中で膨れ、精が弾ける。

 吐精を感じると、私の体も大きく震え、男に共鳴するようにガクガクと絶頂してしまった。

 ことが終わると、男はおざなりに私に服を着せ、車を少し走らせたところで「降りろ」と命じた。

 去り際、男は私に連絡先を書いたメモを握らせてくる。

 そのメモ書きを捨てようとも思ったけれど、どうしてかその決心はつかなかった。

 それから数日後。
 震える指で、私は男の番号に電話をかけた。
 けして、あのおぞましい快楽に身を委ねたい訳ではないの。
 ーーと、自身に言い聞かせて。

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