食べるマニア 第①話

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名等、名称は実在のものとは一切関係ありません

井上春香は、ちょっと地味めなOLだった。28歳、彼氏はしばらくいない。覚えてないくらい、いない。黒ぶちメガネをかけて、ヘアスタイルにも化粧にも興味がなく、私服も決しておしゃれとは言えない感じの女性だ。

春香には幼馴染の優子と言う、春香とは真逆で活発な女性で、彼氏を作っては、コロコロ変える浮気癖のある女性だった。

『春香、あんた最近どうなの?』

二人でたまに喫茶店に入っては、優子は決まって同じ台詞を言う。

『どうって、仕事忙しいし、男の人と出会う機会なんて、ないよ』

ため息混じりで春香は言う。ふと、春香は隣のボックス席にいるカップルに目をやった。

ごく普通のカップルだったが、彼氏のカレーを食べる様を見て、春香はそれに一瞬にして目を奪われた。スプレーを口に入れる瞬間がたまらなく、ゾクっとしたのだ。

それは、初めての経験だった。初めて男性がご飯を食べてる様子を見て、物凄いエロスを春香は感じた。

身体が火照ってるのが自分でも分かるくらいだ。

その晩、春香は自分の家で初めて自慰行為をした。

指で股間をまさぐり、胸を揉み、乳首をつねる。

あの男が口にスプーンを口に入れた時を思い出しながら、春香は自分をとにかく弄んだ。

自分でも驚いていた。自分には全くそういう性癖があるとは思わなかった。

その日を境に少し化粧をし、服にも気を遣い、髪型も前よりお洒落にしてみた。

職場内で若干ザワつきが起きた。

同僚の藤沢直也が寄ってきた。

『井上さん、今からランチ行くけど、一緒にどう?』

と、軽い感じで聞いてきた。

『え?はい。良いですよ』

心の中で、引っかかったなと、春香はしめしめ顔をした。

自分が少しでも化粧とか服装に変化があったら、男が寄ってくるだろうと。

しかし、それは前振り。

本来の目的は、男性とご飯を食べに行き、春香は目の前で口を見ること。

男性とキスしたり、ホテルに誘われセックスが目的ではないのだ。

ただ、男性の口を開けるところを見ていたいだけ。

藤沢と春香は会社から近くにある中華料理屋にいた。

四角いテーブルの四つ椅子がある場所に対面に春香は座り、藤沢は餃子チャーハンセットを頼み、春香は小籠包セットを頼んだ。

数分後、先に藤沢の元に餃子とチャーハンが届いた。

『いただきます』

スプーンでチャーハンをすくい、豪快に口に運んだ。

春香は藤沢の口元を凝視する。

(あぁ‥エロい)

口を開けて、咀嚼して、飲み込む。

その一連の流れが興奮する訳ではなかった。男性が口を開ける瞬間に春香は異常なまでの性的興奮を覚える。

自分のところに小籠包が来て、藤沢にバレないように、小籠包を食べながら、藤沢が口を開ける瞬間を見ては、下半身がビチャビチャに濡れている。

これは同世代の男性だから、自分は興奮するのだろうか?

リサーチしようと、会社にいる異性の男性、春香より歳下、同世代、歳上。毎日、違う歳の男性とランチに行った。

向こうには春香を性の対象として見てる訳ではなく、最近、イメチェンした仕事の出来る女性として見られていたので、ランチに行くだけで、春香にとってはストリップ劇場にいるようなものだった。

リサーチの結果、歳下、同世代、歳上の男性全ての世代とご飯を食べてる姿を見て濡らした割合。

①歳下 若さゆえのガッツき方で食べ方が汚い場合もある

興奮度 45%

②同世代 ある程度の経験を積み、テーブルマナーも知っている

興奮度 65%

③歳上 もはや酸いも甘いも経験した。故に、食事に対する欲求は性欲にも似ている為

興奮度 90%

春香は今まで三人の人と付き合ってきたが、一緒にご飯を食べる機会がなかった。

歳下、同世代、歳上のランチローテーションが要した時間は1カ月。その間は、男で言うハーレム状態で、目の前に裸の女性が普通に生活してるような非日常なんだが、春香にとっては、男が口を開ける瞬間に興奮するのは、あまり掘り下げなかった。

その1ヶ月間は毎夜、お風呂場で股間にシャワーを浴びせ、誰かに抱かれる事を想像し始めるようになっていた。

誰かの口で、私の全身をむさぼるように、舐めて欲しい。

この性癖をカミングアウトすると、必ず引かれるから、ちゃんと化粧し、服装もシンプルだけど体型に合った色気のあるようし、向こうから誘われるのを待った。

『井上さん。今晩、空いてる?』

と、初めて春香ランチに誘ってきた藤沢が退勤時間に言ってきた。

春香は即答した。

普通のレストラン。

『井上さん、俺と初めてランチした時の事、覚えてる?』

『もちろん。こんな地味な女に誘ってくれたの初めてだったし』

藤沢はすこしもぞもぞし始めた。

『どうしたの?』

『人間、誰しも趣味があると思うんだけど‥』

『うん』

『引かないで聞いてね?俺、女性がご飯を食べる時に口を開けるでしょ?あれがたまらなく色っぽいんだよね』

雷に打たれた瞬間だった。

春香はニヤリとした。

その日の晩。二人はホテルに来ていた。

風呂の中で二人は激しくキスをした。

口だけ開け、舌と舌を絡め合わせる。唾液の糸が引く。

春香は藤沢の身体をゆっくり舐め回す。

今までの溜まりに溜まった性欲が藤沢の存在によって爆発した。

どうやら藤沢は初めて春香をランチに誘った時に、春香の小籠包の食べる時の口があまりにエロく、一人激しく興奮したのを覚えたと。当時、付き合ってた彼女と別れて、春香と付き合いたいと思っていたが、長時間かかってしまったと照れながら言っていた。

『私に今日も、食べるところ見せてね。ご褒美に、夜はたくさん、あなたを食べてあげるから』

心を解放出来るって最高だなと、夜空に叫ぶ二人だった。

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