「やべっ……遅くなっちまったっ!」
季節は初夏。そこはかとなく新緑の香りが立ち込めるキャンパス内を、俺、浩野亮平(こうのりょうへい)は慌ただしく走り抜けていた。
「はあっはあ……もうすぐかっ……」
呼吸を荒げながら、俺は目的の場所である大学の正門までもうちょっとの距離まで近づいていた。
こんなに急ぐのには、もちろん理由がある。それは――
「あっ、亮平さん!」
正門の側に佇んでいた、背中まで伸びる艷やかなロングヘアが特徴的な女子が、俺の姿を見つけ明朗なトーンで声を上げる。
「はあはあ……ごめんっ、遅くなった!」
俺はその女子の間近くで急停止すると、どうにか呼吸を整えつつ、両手を合わせてぺこりと頭を下げる。
「そんな……気にしなくていいですよ。私も今来たばかりですから……」
慈愛に満ちた声が頭上に降り注ぎ、俺はゆっくりと頭を上げる。
「佳奈実(かなみ)ちゃん……」
眼の前には俺の恋人、新島佳奈実(にいじまかなみ)のたおやかな笑顔があった。
「ごめん……ゼミが予定よりも長引いちまったんだ」
俺は引き続き、申し訳なさそうに左手を後頭部にあてがって弁明の言葉を続ける。佳奈美ちゃんの性格からして、よほどの事がない限り待ち合わせの時間に遅れるはずがなく、今来たというのも恐らくは俺を気遣ってのことだろう。
「いいんですよそんな……亮平さんが入ってるゼミって、忙しいことで有名ですから……羨ましいくらいです」
「ホント?」
「ええ……私のゼミなんか退屈過ぎて、人が集まらなくて困ってるんです」
「そうなの……」
片目を閉じちょろんと舌を出した佳奈美ちゃんのいたずらっぽい表情を見て、俺は真実だと確信する。彼女は文学部で俺は理学部。ゼミの忙しさは学部の違いもあるのだろう。
ここで俺は、改めて佳奈美ちゃんの姿を眺めた。
腰まで伸びるロングヘアは左右が後ろにまとめられており、彼女の美貌をよりはっきりと見せている。白のプラウスと青のチェック柄のスカートは、スタイリッシュな細身の魅力を際立たせていた。
紛れもない清楚系美少女である彼女と付き合い始めたのは、ちょうど一ヶ月ほど前。同じ一年生である彼女に、勇気を振り絞って告白したところ、何と両思いであることが発覚し、快くオッケーをもらうことができたのだった。
しかも、俺と同じでこれが人生初の異性とのお付き合いとのこと。
当然処女であり、その純潔を散らすのは順当にいけば当然俺ということになる。俺の方ももちろん、彼女に童貞を捧げられるのであれば本望というわけだ。
我が世の春が来たような感覚を、最近は感じていた。
「どうかしましたか?」
「えっ……」
ふと気がつくと、そこには佳奈美ちゃんの怪訝そうな表情。
「い、いや、なんでもないよ……」
両手を振ってごまかす。いけねいけね。ついつい頭ん中まで春になってたぜ。
「さ、さあ帰ろうか……」
「ええ、行きましょう」
冷や汗をかきつつ、若干早足気味で大学を出る俺。一方の佳奈美ちゃんは、おしとやかな微笑みを絶やさずに歩調を俺に合わせるのだった。
「今日はどこ行こうか」
意識的に歩行のペースをゆっくりめにしながら、俺は傍らの佳奈美ちゃんに訊いた。
「えーっと、そうですね……」
考え込む様子の彼女。付き合いだしてから、学校がある日は極力一緒に帰るようにしている。もちろんこれはデートを兼ねており、大学近くのショッピングモールに行ったり、時間がある時は電車で街中心部まで出かけることもあった。
ただ、最近は若干マンネリ化してきたかな?と思わないでもない。
「あのっ……」
そう思っていると、彼女が静かに口を開いた。
「もし良かったら、私の家になんてどうでしょう……」
「えっ……いいの!?」
「はいっ……」
若干恥ずかしそうにうなずく彼女。それもそのはず。彼女が言う家とは一人暮らししているアパートの部屋のことだ。
そこに招かれるということ。それすなわち部屋で二人っきりになるということ。
好き合っている恋人ならば、やるべきことは一つ。
その事実を俺も彼女も十二分に承知しているからこそ、これまでお互いに中々言い出せなかったのだ。
俺と同じく彼女も地方からの進学者で、この街で部屋を借りて一人暮らししている。
正直、彼女から言ってくれて助かった。さほど綺麗にしていない俺の部屋に招くのは抵抗があるし、俺の方から部屋に行っていいかと尋ねるのも相当勇気がいることだったからだ。
「そう言えば家って、どの方角だったっけ?」
胸の高鳴りを気取られぬよう、なるべく平静を装うかのように当たり障りのない質問を振る。
「この近くです。ご案内しますね」
彼女は微笑みを絶やさず、俺の少し先を歩き始める。
(今日こそは……今日こそはキス以上のことをしていいってことなんだよな?)
先導する彼女の背中を見ながら、俺は湧き上がる期待に胸を膨らませていた。
「ここが、私の部屋です」
ごく普通の学生向けアパートの二階。とある扉の前で佳奈美ちゃんは足を止め、手提げバッグから鍵を取り出し鍵穴に差し入れる。
ガチャリ……。
ロックが外れる音がした。
「さあっ、どうぞ……」
ドアノブを手前に引き、薄暗い室内に外部からの光が射す。
(ここが、佳奈美ちゃんが生活を営んでいる空間……)
思春期の少年のようにドキドキしつつ、俺は玄関へと足を踏み入れた。
「さあ、遠慮なくお上がりください」
彼女に促されるまま、スニーカーを脱いで端正に揃える。自分の部屋ではまずしない行為だ。
ガチャッ……。
彼女は内側からドアに鍵をかける。
(これで、密室に二人っきり……)
その事実に、俺の胸は一気に高鳴った。
靴を脱いで端正に揃えたのち、彼女は俺の側に急接近し、
「これで、二人っきりですね……」
俺の眼前で、ほんのりと頬を赤らめつつ囁く。
(やはり、佳奈美ちゃんも同じことを考えて……)
彼女はさらに、俺の肩をそっと抱き寄せ、大きめの瞳をゆっくりと閉じる。
(これは、キスしてってことだよな……)
「ごくっ……」
俺は生唾を飲み込み、差し出された彼女の唇にそっと、自分の唇を近づける。
んちゅっ……。
俺の唇と佳奈美ちゃんの唇が、そのまま重なり合った。
(ああっ……佳奈美ちゃんの唇柔らかい……)
キスを交わすのはこれが初めてではないものの、彼女のぬくもりが唇から全身に伝わってくるこの感覚は、言葉では言い表せないほど甘美なものだった。
「んんんっ……」
口元から声を漏らしつつ、俺が幸福感に浸っていると、
んちょっ……。
俺の前歯に、何やら生温かいものが触れたのがわかった。
(もしかして佳奈美ちゃん、俺の口に舌入れようとしてる?)
それを確かめようと、俺はちょろっと舌を突き出してみる。
んちゃっ……。
その瞬間、ぬるっと柔らかい触感を舌先に感じた。
(やっぱりこれ、佳奈美ちゃんの舌だ……)
確認した後、俺はぐいっと、佳奈美ちゃんの唇の中に自らの舌先を差し入れた。
ぬっちゃっ……ぬちゃ……。
佳奈美ちゃんの舌は反応し、俺の舌を追跡するかのように動き回る。
(これって、ディープキスってやつだよな?)
このようにお互いの舌を絡めあうのは、これまでしたことがなかった。成人向け動画では散々見かけるものの、彼女に対して実行するのには、さすがに勇気がいる。
(今日は佳奈美ちゃん、だいぶ大胆になってるみたいだな……)
そんなことを思いつつ、彼女の舌のぬくもりを堪能していると、
「んっちゅぅぅぅっ……」
彼女の方から、思いっきり唇を押し付けてきた。
「れろれろれろれろっ……」
さらに、俺の口内深くに入り込んだ舌先を、ものすごい勢いで這い回す。
(佳奈美ちゃん……!?)
突然のことに、俺はかっと目を見開く。
「れろれろんちゅんちゅうっ……」
瞳を閉じたまま彼女は、動きが止まった俺の舌をも巻き込みながら俺の歯の表面、裏側、歯茎といった個所を存分になぶっている。
(あああっ……佳奈美ちゃんの舌先が、俺の歯に這い回って……なんつうかっ、これはエロいっ……)
まるで別の生き物のように蠢いている彼女の舌の動きは、俺の奥底に眠る性的な本能を呼び起こしていった。
「うふぅっ……」
その時、艷やかな吐息が俺の口元に当たる。
(やっぱ興奮してるんだな佳奈美ちゃん……こうなりゃ、ヤケだっ!)
半ばやけっぱちとなり、俺は覚悟を決めた。
「んちゅぅっ……れろれろっ……ぺろぺろれろれろっ……」
彼女の口内に突っ込んだ舌先を、俺は思う存分に動かし始める。
「むむむっ……んれんれんれんちょ……」
うめきつつ、彼女は自らの舌を、俺の舌を追跡するかのように動かす。
「んれじゅっれじゅれじゅ……」
彼女は分泌された唾液を俺の口内にすり込み、
「んじゃんれっれっ……れじょれじょれじょっ……」
一方の俺も、舌先により唾液を彼女の歯表面になすりつけていく。
(俺の口と佳奈美ちゃんの口が繋がって……ああっ……できるならずっとこうしていたい……)
再び目を閉じながら、俺は恍惚とした感情に浸っていた。
「んちゃっれりゅんちぇっれれっ……」
先ほどからずっと俺の口の中をむしゃぶっている、彼女も同じ心境のはずだ。
「ぷっはぁぁぁっ……」
その彼女の口が離れる。目を開けると、俺の口元から唾液が伸び、ねっちょりと彼女の舌につながっているのが確認できた。
「はあっはあっ……亮平さぁぁぁん……」
切ない声を上げる彼女。大きな両瞳は細められ、左右の頬はかあっと紅潮している。
いつもの清純な印象と違う、妖艶さを漂わせていた。
「佳奈美ちゃん……」
彼女の呼びかけに、こちらも名前を呼んで応える。
「聞いて、いただけますか……」
「うんっ……」
俺は静かにうなずく。
「実は私……」
「…………」
なんだろう。ここに来て突然の告白のようだけど……。
固唾を飲み込み、彼女の言葉を待つ。
「実は私、お口が性感帯なんです!」
「へっ…………?」
予想だにしていなかった彼女の言葉に、一瞬耳を疑った。
「食事している時にも、感じてしまうくらい敏感なんです……例えば、ラーメンやうどんをすする時、お口の中を滑り抜けるつるっとした麺の感触がたまらなかったり、納豆を食べた時、お口の中がねばねばってするのが快感だったり、マシュマロやグミを食べる時、はむはむっと歯で押しつぶす感触が気持ちよかったり、飴を舐める時、ぐりぐりっと舌先で口蓋に押し付けるのがたまらなく好きだったり……」
堰を切ったように一気にぶっちゃける彼女を、俺はあっけにとられて見ていた。
「ですから……先ほどの亮平さんとのキスで、私、とっても感じちゃいました……」
「なるほど……」
納得する俺。さっき無我夢中でディープキスしているうちに、快感スポットを刺激していたわけか。
「あのっ……」
彼女のとろんとした視線が、俺を貫く。
「な、なんだい……」
どぎまぎしながらも、俺は返答した。
「もしよろしければ……オチンチン、しゃぶらせてくれませんか……」
今度こそ本当に、俺は耳を疑った。
「今、なんて……」
「……亮平さんのオチンチン、私のお口でしゃぶらせてくださいっ!」
彼女がきっぱりと言い放った台詞の内容を、俺は確かに聞いた。
「マジで……」
「ええっ……」
「…………」
押し黙って驚愕する俺。まさかっ、清純な彼女の口から、そんなはしたない言葉が出るとは。
「男の人って喜ぶんですよね? 動画ではたいてい、女の子がやっているもので……」
彼女が言う動画とは、俺が日常的に視聴している動画で間違いないだろう。そんなまさか、清楚系美少女の佳奈美ちゃんが、そんなもの見てるなんて……。
ショックを受け押し黙ってしまう俺に、彼女は不安そうに声をかける。
「もしかしたらお嫌いでしたか?」
「えっ、い、いやっ……大好きだけど……」
「ホントですかっ! よかったです!」
ぱっと表情を明るくさせる彼女。ううっ、可愛いっ……。
よくよく考えてみると、大好きな佳奈美ちゃんにフェラしてもらえるのだ。彼氏として、これを受けないわけにいかない。
「立ちっぱなしってのも何なので、腰を下ろしていただけますか?」
「あっ、ううん……」
言われた通り、玄関からすぐの、キッチン側の狭い廊下に俺は静かに腰を落とす。俺の股間が顔の正面にくるよう、佳奈美ちゃんは俺の両脚に覆いかぶさる体勢を取った。
「あっ、大きくなってるみたいですね……」
彼女の指摘どおり、俺の一物は既にトランクスの中で勃起していた。
じぃぃぃいっっ……。
さっそく佳奈美ちゃんは、股間部のファスナーを開ける。
「きゃっ……」
飛び出てきた俺の勃起チンポに驚く彼女。こういう反応は初々しくていい。
「亮平さんのオチンチン、太くて大きいです…………」
恍惚とした声で囁く彼女は、しなやかな指先をいきり勃った竿の表面に這わせる。
「んんっ……」
それだけで俺は声を漏らしてしまう。この状態でフェラされたら、それこそ気持ちいいだろう。
「オーラルプレイに関しては、本を見て勉強しました。実践は初めてですが、私、頑張ります……」
「本を見て勉強って……」
「いつか亮平さんと、こういうことができればって……」
彼女のおごそかな声のトーンが、俺の背筋をぞくっとさせる。
「じゃあ、動画を見たってのも……」
「ええ、勉強の一環で……」
それを聞いてほっとする俺。そりゃそうだよな。あくまでも来たるべき俺との行為に備えて、彼女らしく真面目に準備していたわけだ。
「それでは、いきますね……」
その言葉とともに、彼女はおもむろにお口を開く。
「んあっ……」
熱い吐息が、敏感な竿の表面を蒸らし、再度俺はうめいてしまう。
「ぱくっ……」
ついに彼女は、俺のペニスを咥え込んだ。
「あむあむあむあむっ……」
小さい唇を内側に丸め込み、皮膚越しにちょうどよく、彼女の歯の圧迫感が伝わってくる。
(気持ちいい塩梅だな……)
やはり自分の手でしごくより、気持ちがいいものだった。
「ちゅろっ……」
彼女の舌先が、軽めに先端部の亀頭に触れる。
(んんっ……佳奈美ちゃんの舌、あったかい……)
「んれりゅっ……」
彼女は舌を、思いっきり竿の部分に絡めてきた。
(意外と大胆だよな、佳奈美ちゃんって……)
彼女のそんな性質を、俺が嬉しく思っていると、
「んれっれっれっりゅれりゅれりゅれりゅっ……」
不意に彼女の舌が、躍動を開始した。
「れっりょっれりょれりょれりょ……んあむぅぅぅっ……ちゅっちゅぷぷぷぶぶぶぶっ……」
ペニスの表面に舌を執拗に押し付けてきたかと思うと、小さい唇をすぼめ、音を立てつつ思いっきり竿を吸い上げる。
(い、一体何が起こったんだっ……!?)
豹変した彼女を、俺は目を丸くして見つめる。
「ぷっぷっ……むはぁぁぁぁっ……はっふっ……んちゃんれんちゃんれ……」
俺の驚きに気づく由もなく、盛大に息を吐きながら俺のペニスにむしゃぶりつく彼女。
「ふごっふごっ……むむむっ……じゅっれっ……じゅれじゅれんちょんちょ……」
喉奥にまで深々と剛直を咥え込み、うめき声を上げつつねっとりと唾液を、亀頭にすり込めていく彼女の舌先の動き。
(こ、これ初めての動きじゃないだろ……)
真面目な彼女のことだ。きっと相当に「勉強」したのだろうが、それにしても学習能力の高さには舌を巻かざるを得ない。
彼女の学業成績が極めて優秀だったことを、いまさらながら思い出した。
「んちゅぅっちゅうちゅぅぅ……じゅっぱじゅばじゅば……」
懸命に唇を吸い付かせる彼女。
「むっあぁぁぁぁっ……」
絶え間なく伝わってくる刺激に俺はうめく。こらえきれず、先端部から漏れ出すものがあった。
「じゅぅぅうっっ……」
(ああっ、俺の我慢汁、佳奈美ちゃんに吸い上げられてっ……)
「んっじゅぅぅうっ……んじぃぃいぃっ……」
品のない音を立てて吸われる度、こそばゆい刺激が尿道に伝わっていく。
「くっじゅぅぅぅっ……んれっちょっちょ……」
吸い出して鈴口に溜まったカウパーを、彼女は突っつくように舌先ですくい上げる。
「んはあっ……!」
声を上げ、否応なしに感じてしまう俺の様子をまるで気にしていないかのように、佳奈美ちゃんは口の動きを継続する。
「んっちゅっっぱちゅぱちゅっぱ……」
リズミカルに唇を吸い付かせたかと思うと、
「れっちゃれちゃれちゃ……んれんれんれっ……」
唾液まみれの舌先を竿にまとわりつかせ、勢いをつけて亀頭をなぶっていく。
「むっむむむっ……これはすごいっ……」
彼女のオーラルテクの前に、文字通り腰を抜かす俺。
「はっふはっふっ……」
鼻息を荒くする彼女の表情は、すっかりのぼせ上がっている。
「はっぶじゅるじゅるじゅぅぅぅっ……」
左右の頬を思いっきりへこませ、バキュームを開始した。
「むあぁぁっ……はあっはあ……そ、そんなにされたらっ……」
タンマタンマと、パーにした片手を突き出して彼女を制止させようとしたが、
「んちゅぶるぶるちゅるるるっ……」
先ほどからスイッチが入りっぱなしの佳奈美ちゃんの目に止まるはずもなく。
「れっじょれじょれじょっ……じゅっちゅっじゅじゅりゅりゅりゅっ……!」
ペニスに這い回る彼女の舌のざらざらっとした熱い刺激に、とうとう俺のせり上がる衝動は限界を迎える。
「くっあぁぁぁあっ……!」
その叫びとともに、
ドッピュルルルルルッ……ビュービュービュリュリュリュリュッ……!
俺は盛大に、佳奈美ちゃんの口の中に精液を放出した。
「んんんんっ……ごくごくごくごくっ……」
喉奥からうめき声を漏らしつつ、彼女は喉を鳴らして俺の精液を飲み込んでいく。
「んじゅるるっ……あふぅっ……むっじゅっじゅちゅうぅぅっ……」
尿道内の残りすらも、貪欲に唇をすぼめて吸い出していく。
(んんっ……佳奈美ちゃん、これじゃまるで獣じゃないか……)
彼女の性欲というものを、間の当たりにした瞬間であった。
「ふっじぃぃいっっ……ぷはあっ……!」
ようやく彼女は、唇を離した。
「はあっはあはぁっ……亮平さぁぁん……」
「佳奈美ちゃん……」
息を荒げる彼女は、白い粘液にまみれた口をねっちょりと開き、蕩けきった瞳で俺を見上げている。
「亮平さんの精液、どろり濃厚で喉奥にへばり付いてます……そして苦じょっぱい……」「ご、ごめんっ……」
何やら悪いような気がして、謝る俺だったが、
「すっごく素敵で、美味しいっ……」
「へっ……」
呆気に取られる。どうして素敵で美味しいのかよくわからないが、佳奈美ちゃんの恍惚とした表情と声からして、嘘を言っているわけではなさそうだ。
(これでフェラが終わったわけだが、そうなるとお次は当然……くんずほぐれつからの初体験へとなだれ込むんだよな?)
予想されるこれからの展開に、俺が胸ときめかせていると、
「はあっはあ……もっと、もっとぉっ……私のお口の中にくださいっ……」
「えっ……?」
開いたままの口元に人差し指を当てて、物欲しさをアピールする彼女。
「はっむぅぅっ……」
そして俺の一物を、再び口の中にくわえ込んだ。
「佳奈美ちゃん……?」
「むっちゅうぷぷぷぷっ……れっじゅじゅれじゅれれっ……」
射精直後の勢いを失った男根を、喉奥に誘うかのように思いっきり口内で愛撫していく。
「はむぅはむぅ……むっふぅぅぅっ……」
ふにゃっとした竿の部分を臼歯でむにむにっと圧迫しつつ、彼女は艷やかな吐息を深々と漏らす。
「んにんにんにぃぃっ……ちゅっちゅれろれろっ……」
続いて前歯で甘噛みをしつつ、先端部の鈴口に舌先を這わせた。
「あっぁぁぁっ……」
一物に加えられる適度な圧迫感。股間部周辺が、再び熱さが籠もっていくのが感じられた。
「んっむむむむっ……」
すぼめられた彼女の口をこじ開けるかのように、勢いを取り戻していく俺のペニス。
「はむっむっ……んぽっ……んぽんぽんぽんぽっ!」
すかさず佳奈美ちゃんは顔を上下に動かし、唇でのしごき上げを開始した。
「んっぷぷぷぷ……むもっもっ……むっむ……くっぽくっぽくっぽくっぽ!」
自ら亀頭を喉奥に押し付けるように、深々とくわえ込んだ状態でタコのように変形した口元で根本から先端の亀頭、先端の亀頭から根本となぶっていく。
(んっぁぁぁぁぁ……なんという感触っ……)
佳奈美ちゃんの唇はぷにっと柔らかく、お口の中はほんのりと熱くて心地よい。
あっという間に、身体の奥から射精衝動がわき上がってくる。
「はっぶちゅるるるぅぅぅっ……ちゅぷれろっちゅるれろっ……」
そのことを知ってか知らずか、彼女の口の動きは大胆さを増していく。
俺の精液と先走り汁、そして佳奈美ちゃんの唾液が混然とブレンドされた液体によって、臨界寸前の俺のペニスはねっちょりとコーティングされた。
「うふふっふぅぅっ……んちゃっちゃんれっんれっ……」
すっかり発情しきった様子の彼女。ついには舌先で玉袋を突っつき、皮越しに精巣を刺激して射精を促す。
「んんんんんっ……」
予想だにしていなかった個所への攻めに、俺は思わず声を上げそうになる。
「んじゅっちゅるちゅぅぅうぅっ……んぽぽぽぼぼぼっ……くっぶぅぅぅぅっ……!」
ひときわ強く吸い上げられた、その瞬間。
ドッピュールルルルッ……ピュ~ビュ~ドリュリュリュ……!
「はっふっ……ごっくごっくごっくんっ……」
盛大に開始された二度目の射精。それを喉奥で受け止めていく佳奈美ちゃん。
「ごっくっ……むちゅじゅじゅじゅぅぅ……」
さらなる精液を求め、彼女は射精中の男根にむしゃぶりつく。
ドッピュビュルビュウゥゥッ……ピュピュビュルルルッ……!
「ごくごくごくごくっ……ふっじぃぃぃぃっ……」
喉を鳴らして精液を飲み干す音と、歯の隙間から精液を吸い上げる音が重なり合った。
「んちゅっむうぅぅっ……ぶじゅるぅぅぅぅっ……ぶっじゅるびぃぃぃっ……」
男根に密着させた唇を震わせ、下品なサウンドを響き渡らせつつ、彼女は精液を余すところなく吸い上げていく。
「くっぁぁぁぁぁぁぁ……」
しぼり出すようにうめき声を上げる俺。尿道はおろか金玉には、もう何も残っていないだろう。
「ぷっはぁぁぁぁあ……美味しかったですぅぅぅっ……」
ようやく口を離した彼女から、幸福感に満ちた声が高々と上がる。
いつにも増して、艷やかなオーラが漂っていた。
「はあっ、はあっ……そ、そりゃ良かった……」
一方の俺は、文字通り精気をしぼり取られていた。
こりゃ、くんずほぐれつしようにも、先立つものがない。
(これじゃ、今日は無理じゃんか……)
内心、がっくしくる俺。
「一気にしぼんじゃいましたね……」
しぼみきった俺の息子を指先でつまみながら、佳奈美ちゃんは言葉を続ける。
「亮平さん、もし良かったらご飯食べていってください」
「えっ、そりゃ喜んで……」
彼女の手料理は、いくら食べても飽きない。
「精のつくものを、たくさんご用意するつもりです」
精のつくものだって。そんなら俺の精力も回復するはずだ。
(そんなら、今晩いけるかも……)
俺のそんな期待は、次に彼女が発した言葉で儚くも水泡に帰すことになる。
「それで精子作って、ぜ~んぶ私のお口にくださいね♪」
そう言って自らの唇に、ぴたりと人差し指をあてがう佳奈美ちゃん。
「あっ、ああっ……」
条件反射で頷く俺だったが、内心は軽い失望感を味わっていた。
(この分だと初体験は、当分先になるかもな……)
「うふふふふっ……またお願いしますね……んちゅ……」
佳奈美ちゃんは軽く、俺のペニスに口づけをする。
「はははっ……」
苦笑いをする俺。この時ばかりは、天使のような彼女が悪魔に見えるのだった。
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