取り囲まれたワタシ

[小説]1話完結

「都内在住の女性会社員が行方不明になる事件が-」

私は見ていたテレビを消し、コーヒーを一口飲んでから玄関に向かった。

玄関を開けた瞬間に見えたのは見慣れた景色ではなく、一人の男。

挨拶する間もなく、私の意識はそこで途切れた。

薄暗い部屋の中。私は、手足を縛られた状態で横たわっていた。

「もう……! 何よこれ!」

ロープを外そうともがくが、逆に手足がきつく締め上げられる。

諦めようとした瞬間、パッと一斉に電気が点いた。あたりを見渡せば、4枚の大きな鏡に囲まれている。

「鏡?」

鏡の方へ寄り、自分の顔をじっと見つめる。何の変哲もない鏡と、変わり映えしない自分の顔。

思えば、どうやってこんなところに来たのか思い出せない。

小さくため息を吐きながら鏡から目を背けた瞬間、仮面を身につけた一人の男が立っていた。

「何よ、あんた!」

男は何も言わず、私の方へ静かに歩み寄る。私は逃げようと、体をくねらせた。

男が、私に向かって手を伸ばす。覆いかぶさる男。私は、とっさに目を強くつぶった。

するりと音を立てる何か。突然軽くなった手足に違和感を覚え、私はゆっくりと目を開けた。

自由になった手足。呆然とする私を、男がそっと立たせる。

「あ、ありがとうございます……」

お礼を言った瞬間、何かがビリビリと音を立てた。視線を下に運べば、ビリビリに破かれた布切れがある。それは、私の洋服だった布切れ。

「え?」

素っ頓狂な声を上げた瞬間、首元を強く掴まれる。そして、思い切り鏡に打ち付けられた。

鏡は割れ、私の頰をかすめた破片たち。ライトに照らされて、きらきらと輝いている。

体が後ろに投げ飛ばされ、何か柔らかいものに当たった。

「いった……」

立ち上がろうとした瞬間、自分の両胸に妙な違和感が。自分の胸を確かようと手を重ねた時、思い切り胸を揉まれた。

「いや!」

割れた鏡の方へ逃げ出そうとするも、何かに強く腕を掴まれてしまった。

後ろを振り返った途端、突然暗くなった視界。あたりを見渡しても、そこにあるのは闇だけ。

自分の腕が背中に回され、胸を突き出すような姿勢になる。服と一緒に下着も破かれたのか、布切れが乳首に当たっていた。

「!」

身をよじって逃げようとすればするほど、布切れに乳首が擦れてしまう。自分の下唇を噛んだ時、生暖かいものが左胸の上を滑った。

「やだ……」

右側へ逃げようとした瞬間、思い切り吸われた乳首。突然の快感に、私は声を抑えることができなかった。

「ひゃっ!」

胸を舐められたり、吸われたりと好き放題される自分の体。胸に這う舌や荒い息が、じわじわと私の思考を奪っていく。

快感の波が、ぞわぞわと背中を駆け上がった。腰が抜けそうになるほど、気持ち良い。見えない状況が、快感をより強めていく。

足に力が入らなくなった頃、後手に回っていた腕が解かれる。支えをなくした私は、そのまま床に転がった。

立ち上がろうと腰に力を入れた瞬間、じんわりとした痛みが下半身を襲う。驚いて声を上げた瞬間、口の中に硬いものを突っ込まれた。

くちゅくちゅと響く卑しい水音。下腹部が、きゅうきゅうと締まる。

「!」

背中を這う舌の感触に、私は思い切り背中を反らせた。口に入っていたものが抜け、自然と嬌声が漏れる。

「罰だ」とでも言うように、叩かれたお尻。叩かれて痛いはずなのに、気持ち良く感じてしまった。

顔を掴まれ、口の中にねじ込まれる男性器。下半身に出入りする指。背中を這う生暖かい舌。

襲ってくる快楽に、何も考えられなくなる。

指や腰を突き動かすスピードが上がる。腰や髪の毛を乱暴に掴まれ、奥へ奥へと突き上げられた。ぴたっと動きが止まった瞬間、口と下半身に体液が溢れ出る。太ももや口の中、背中に這う体液から、むわっとした臭いが私の鼻をくすぐった。

「はぁ……はぁ……」

びくびくと痙攣をする自分の体。息吐く間も無く、仰向けにされ足を思いっきり広げられた。

「ま、待って……。まだイッたばかり……」

体を起こそうとしても、力が入らない。私は、ただその場に寝そべるしかなかった。

ごつごつとした手が、私の体を撫でる。撫でられているだけなのに、イッたばかりのせいか体の痙攣が止まらない。びくびくと動くたび、乳首の周りや太ももの付け根を指が滑っていく。

攻めてくれないもどかしさに、私の体はただ濡れていくばかり。身をよじった瞬間、誰かの指が下半身の中に入った。

「ひゃ!」

思いがけない快感に、思わず声が出る。その瞬間、ぐっと喉元を締め付けられる。

「!」

上げられない声。じわじわと襲ってくる快楽。頭の中が、徐々に白くなる。

ふーと、下半身に息を吹きかけられた。声を上げられない代わりに、びくびくと激しく痙攣する体。

目隠しをされ大勢の男たちに襲われるこの状況に、私は快感を覚えた。

男の手が私の喉元を離れた瞬間、私はすかさず声を出す。

「ねぇ、もっと犯して……」

絞り出された私の声に反応した男たち。

私の下腹部はすでに潤っており、すんなりと男性器を受け入れる。次に口の中、両手に男性器が入った。

激しく動く下半身と口。両手には、ぬるぬると湿った男性器がある。

目隠しをしているせいで、目の前に何人の男たちがいるか分からない。でも、この異常な状況に興奮していることは分かる。

子宮口に入るかのごとく、強く激しく突き上げられる男性器。男が腰を止めた瞬間、私の体の中に体液が注がれた。熱すぎる体液が、ぽたぽたと床にこぼれおちる。

口の中にも濃い精液が出され、鼻を摘まれる。空気を吸おうと口を開けた瞬間、喉に流れてしまった。

蓋をするかのごとく、今度は違う人の男性器が入れられた。声を出せない代わりに、びくびくと反応する体。

何人の人と性行為をしたのかは分からない。床に手をつけば、ぬるぬるとした体液が水たまりを作っている。

周りが見えない状況でする性行為が、こんなにも気持ち良いものだとは思わなかった。

連れて来られてから、何日経ったのか分からない。ただすることと言えば、大人数との性行為だけ。

 

目隠しを取ったら終わりそうな予感がして、私はあの日からずっと目隠しをしたまま過ごしている。

この取り囲まれた生活から、抜け出せなくなってしまった。

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