アイドル大放尿

[小説]1話完結

 Webドラマ「果てしない爆愛」の撮影は佳境に入っていた。
 僕は、このドラマに脚本兼アシスタントディレクターとして参加している。
 本作は、先ごろ、某人気アイドルユニットを卒業した渡部日向子の女優デビュー作であり、加えて、僕の脚本家デビュー作でもある。

 今日の撮影部分は、失恋して生きる希望を失った渡部日向子演じる女子大生が、雪山で遭難すると言うクライマックスにつながるシーンだ。
 ドラマについては、予算の都合もあり、ほぼ使いまわしのセットで撮影するのだが、彼女が雪山を彷徨う本日のシーンだけは、「心の空虚を表現するにはセットでは無理」だのなんだの、脚本家特権で強引に理由をつけてロケの予算を組んでもらった。
 まあ、ロケと言っても、都心から車で1時間もかからない近郊の雪山で、それらしく撮影するだけなのだが、僕の中に渦巻くシーケンスでは、雪山と言うロケーションは、最も重要な位置を占めるのである。

 ロケバスを降りて、歩くこと約20分。撮影場所は、いい具合に積雪していた。
 とりあえず、雪が積もっていて、周りが木々に囲まれていれば、アングル処理で、険しい雪山になる。これで十分だ。
 監督とミーティングしているカメラマンや、渡部日向子の女性マネージャーをよそに、僕は用意されたパイプ椅子に腰かけて脚本に目を通している渡部日向子に話しかけた。
「さすがに寒いですね」
 僕の言葉に、赤のハードシェルに身を包んだ渡部日向子が見上げてきた。遭難シーン撮影のためにノーメイクである。すっぴんだとのっぺりした表情だが、僕にとっては面構えなど関係ない。
 とにかく、僕にとって重要なのは、このロケーションに、渡部日向子を連れ出すことだったのである。
「コーヒー飲みますか?」
 僕は彼女の傍らに置かれている紙コップとホルダーに、用意していた魔法瓶から温かいコーヒーを注いだ。
「あら、ありがとうございます」
 渡部日向子は僕からホルダーを受け取ると、軽く会釈してにっこりと微笑んだ。さすがに、元アイドルだけに笑顔がかわいい。
 そして、彼女はポケットからサプリメントケースを取り出すと、コーヒーでサプリをいくつか流し込みながら言った。
「ここ、お手洗い、ないんですよね?」
 渡部日向子の指摘に、僕は内心を見透かされたようにドキリとした。ただし、言い逃れは用意してある。
「はい、そう長い撮影ではないですし、長引くようなら途中で休憩を挟みますから、その時はロケバスまで戻りましょう」
 これについては、彼女のマネージャーも了承済みの事項である。
 しかし、彼女はコーヒーを一気にあおりきると、子供のような無邪気な笑顔を浮かべた。
「あそこまで戻るのなら、そのへんでしちゃいますけどね」
 渡部日向子はそう言って、僕にもコーヒーとサプリを差しだした。
「ADさんもどうぞ。さて、今日もがんばっていきましょう」
 僕は彼女から渡されたコーヒーとサプリをいただきながら、心の中で夢が具現化していく様を味わっていた。

 僕には夢があった。
 それは、どこまでも広がる雪山の真っただ中で、渡部日向子に思いっきり放尿させる夢だ。
 純白に染められた清らかな大地を、日向子の股間を割って排出された臭い尿が波紋を描くように黄色く広がっていく。
 僕が、この世界に入る時、いや、もっと前から抱いていた妄想を、ようやく実現できる時がやってきたのだ。

 渡部日向子は、所属していたアイドルユニット内での人気度は、中の下くらいの位置にいた。正直、あまり注目されていたとは言えない存在である。
 そのため、今後も芸能界に生きていくためには何の保証もなかった。だからこそ、予算の乏しいWebドラマとは言え、実績はほしかったところなのだろう。
 彼女を主役に押したのは、この僕である。そして、僕の読み通り、彼女サイドもこの話に乗ってきた。
 渡部日向子には申し訳ないが、彼女は僕の「純連潔白な元国民的アイドルが、青空の下、思いっきりまんこをさらけ出して放尿し、雪を黄色く染める」シチュエーションに言い知れぬ興奮を覚える性的倒錯を満たすために、うってつけの存在だったのだ。
 もちろん、ドラマにそんなシーンを加えられるわけはない。しかし「渡部日向子放尿計画」は僕の中で着々と進行している。
 アイドルはうんこはしないが、おしっこはするのである。そして、僕は合法的に彼女の尿を見るのだ。
 既に渡部日向子は利尿作用の高いコーヒーを飲みきった。あとは、僕が監督に注文を出して撮影を長引かせるだけだ。
 彼女の膀胱はコーヒー作用と、この寒空の下できっと耐えられなくなる。
 そして、この周囲には潜んで放尿できる木陰などは結構ある。そのあたりはロケハンでチェック済みだ。

 僕は別に覗きをしたいわけではない。渡部日向子の瑞々しい若いまんこを見たいわけでもないし、それをやってしまうと犯罪者だ。
 とにかく僕は、彼女の尿を見たいだけだ。
 しかし、もちろん、尿を見ようとすると、同時にまんこも見なければならなくなる。すると、先述の通り、それは犯罪者への第一歩だ。
 合法的に尿を見るなら、設置されたトイレだと下水に流されてしまう。そのため、野ションのシチュエーションを狙うしかない。
 そして、真っ白なキャンバスのごとき雪上で一発ぶちまけてもらえば、あとは僕が雪ごと回収するだけだ。

 こうして、ぼくは渡部日向子に尿を見せてもらうために、今日という日に備えておぜん立てをしてきた。
 それは、僕がこの業界に入った最終目的かもしれない。真っ黄色に染まった雪を見た時に、おそらく僕はその達成感から、燃え尽き症候群になるだろう。

 撮影は進んでいった。
 撮影の合間に、彼女は自分のマネージャーに何かを話していた。
 僕はその変化を感じ取っていた。僕の計算では、そろそろ尿意が訪れる頃だ。
 やがて、マネージャーが僕に断りを入れにきた。
「すみません、ちょっと休憩入れてもらっていいですかね?」
「ああ、構いませんよ。監督もこれまでのチェックをしたいそうですし」
「助かります。すぐに戻らせますので」
「どうぞ、ごゆっくり」
 マネージャーは頭を下げると、渡部日向子を連れて奥の茂みの方に向かっていった。
 もう、間違いない。マネージャーにガードされつつ、渡部日向子は排泄をするのだ。
 渡部日向子が白昼堂々野ションをかます!なんて、僕だけに与えられたとっておき情報である。
 今、まさにマネージャーに厳重にガードされる中、渡部日向子は、肛門からガスを漏らしつつ、大放尿中なのだ。
 黄色く染まる雪を見たい。
 ただし、繰り返すが、覗きは犯罪なのだ。ぼくは、アイドルが近くで放尿しているという現実だけで満足することにしていた。
 僕の近くで、尿さえこいてくれれば、もうそれでいい。

 しかし、偶然から知れないが、ここに来て僕の膀胱も排出サインを出してきた。
 渡部日向子と同じサイクルでもよおしてくる。もらい尿だ。

 やがて、戻ってきた渡部日向子は、監督と打ち合わせに入った。監督は何箇所か取り直しをしたいらしい。
 僕は、その隙を窺い、渡部日向子の排尿痕を求めて茂みへと入っていった。
 ダメもとである。まともな神経の持ち主なら、小便痕はそれこそ猫の排便の様にざっざっと雪をかぶせて隠してしまうだろうし。
 ただ、わずかな痕跡さえあれば、それで僕は想像の翼を広げるだけだ。

 そして、それはあっけなく見つかった。
 と言うか、見つけてくれ、と言わんばかりに、白い大地がその部分だけ、真っ黄色に染め抜かれていたのだ。ついさっきまでホカホカと湯気を立てていたに違いない。
 これは、渡部日向子のこきたての尿だ。
 僕の感動と興奮が背骨から頭頂へと突き抜けた。

 いや、それにしても、黄色い。真っ黄色だ。自分の小便を毎日見ているからわかるが、ここまで黄色くはならないはずだ。
 そして、女性の尿が、男性よりも黄色いと言うこともない。これは自分の人生経験で知っている。
 その時、僕ははっと気づいた。あのサプリだ。
 ビタミンB2の過剰摂取は、不要分を排出させる。その色が黄色なのだ。
 これは何と言う偶然なのだろう。まるで、渡部日向子が僕にわかりやすいようにサプリで尿を黄色く染めてくれていたようだ。
 いや、さすがにそんなわけはないが、それでもありがたい。
 僕は、まず一口雪ごと尿を含み、それから、ぶら下げていた魔法瓶に雪を詰め込んだ。
 そして、堅くなった陰茎を取り出すと、代わりに自分の尿を蒔いた。
 渡部日向子の尿と自分の尿がこの大地で交わる。僕と彼女が結ばれた瞬間だ。
 ありがとう、渡部日向子。
 その時、僕は自分の尿の色が渡部日向子と全く同じ色であることに気付いた。

 それから30分ほどして、全ての撮影が完了して、引き上げの準備が始まっていた。
 そんな中、渡部日向子は、再び、先ほど、自分が排尿した茂みへと来ていた。
 そのまま残しておいた排尿痕は、きれいに刈り取られて、代わりに別の黄色いしみが雪を彩っていた。
 そして、渡部日向子は、あたりの様子を窺った後、パンツを下ろして、尻をまるだしにしてその排尿痕へとしゃがみこんだ。

 この日のために、マネージャーが渋っていた雪山ロケにOKを出した。
 この日のために、ビタミンB2サプリでおしっこを黄色く染めた。
 この日のために、ADさんに、そのへんでお手洗いはすましちゃう宣言もした。

 ADさんにトイレがない説明をされた時、ああ、彼は私のおしっこを狙っているな、とわかった。
 それは、頼んでもいないコーヒーを飲まされた時に、確信へと変わった。
 この人は、私におしっこをさせたいのだ、と。
 なぜ、分かったかと言うと、私もきっとADさんと同類だから。

 じゃあ、どうする?と考えた時に、このADさんの夢をかなえてあげることにした。

 さすがに、東京ドームのど真ん中で、放尿する度胸はないけれど、誰もいない雪山のど真ん中で、パンツを下ろして膝を曲げてしゃがみ込み、股を開き小陰唇を押し広げて、レモンシロップをかき氷にぶっかけるくらいは何でもない。
 私の尿を求める男の人のささやかな夢をかなえてあげた。

 今度は私の番。
 彼にもコーヒーとサプリを飲ませて、彼の尿とわかるように色付けをした。
 そして、私の思惑通り、彼は私の尿を食べて自分の尿を排泄した。

 私は、股間に雪の冷たさを感じながら、ADさんの尿を大陰唇で味わい続けるのだった。

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