美脚に支配された男

[小説]1話完結

 タイトなミニスカートから伸びた彼女の美脚に、オレの視線は釘付けになった。正確には、視線ではなくオレの全神経と言ってもいい。とにかく、あの瞬間から、オレのすべてはその類い希な美脚に支配されたのだ。

 彼女の名は「エリ」といった。本名ではない。風俗嬢にとっては、名前など記号に過ぎないし、実際オレにとってもどうでもよかった。五反田の『ミニスカ美脚クイーン』というその店には、以前から通っていたが、美脚としては「並」か「上の下」といったレベルのコばかりで、なかなか「クイーン級」の脚には出会えなかったのだ。

 その日エリを指名したのはまったくの偶然だった。電話予約していたコが前の客の延長により、ドタキャンになったのだ。この店では、前にも同様の不手際があったため、オレが文句をつけたところ、必要以上に気弱そうな受付氏が、「…じつはオススメの新人女性がいます。このコをつけます…。すごくいいコですから…」と平身低頭に写真を差し出したのだった。

 写真では平凡な顔立ちだったが、身長165㎝とオレ好みの長身。スレンダーなスタイルに惹かれて、オレは「気弱氏」の推薦にしたがい、エリを指名することにした。そして、いつものさびれたホテルの部屋に現れた彼女を見て、いや彼女の脚にオレはすっかり一目惚れしてしまったのだった…。

「…エリです。まだ慣れていないけど、がんばってサービスしますね」。この美脚なら、正直サービスなど二の次だ。「はじめまして、ワタナベです…それにしても、本当に綺麗な脚だね」

 挨拶もそこそこに、オレは彼女を抱き寄せ、そのまま壁に押しつけた。膝をつき、犬のようにストッキングの上から頬ずりしながら、ふくらはぎに触れる。マシュマロのように柔らかいその感触に、オレは完全に魅了された…。さらに後ろ向きにして、下から上に何度も美脚を堪能した。ストッキングに顔面を押しつけ、美脚から放たれる甘い芳香を存分に吸い込むと、オレの男根はブリーフを突き破るほどの勢いで激しく勃起した。思わず、ほんのりと火照ったエリの顔を見上げる。

「…本当に素晴らしい脚だよ。エリ…」

「…ありがと。でも、シャワーを浴びさせて…お願い」

 服を脱ぎ捨てて、シャワーを浴びてから、受付で依頼していたコスチュームを着させた。まばゆいほど赤い超ミニのワンピース。パンストは光沢のベージュだ。細身ながらも、太股に程よい肉付きのエリの美脚にはこれ以上ないほど似合っていた。特に膝から下に長く伸びたラインが絶品だ。それが白いハイヒールに至るまで、流麗で美しい完成度を誇っている。まさに芸術だった。オレはエリをソファに座らせて、全裸のまま正面に跪いた。ゆっくりと脚を組ませ、何度も繰り返して脚を組み直させた。むしゃぶりつきたい欲求を必死でこらえ、怒張するペニスを自身でしごきながら、オレは至近距離で繰り返される美脚ショーを特等席で観賞した。…だが、その忍耐も限界に達したようだ。

「…ああ、エリ。たまらないよ!」

 片足のハイヒールをはぎ取ると、あらわになった足裏を手にして、筆のように自らの顔面に撫でつけた。甘酸っぱい汗の香りが興奮を倍加させる。脚を高く掲げて、さらに顔面をふくらはぎから膝裏へと這わせた。パンストの繊維に沿うように何度も顔を上下する。やがて顔面を太股に移した。今度は両足を揃えて、ソファの上に2本の美脚を並べた。こちらを向いたエリが上半身をねじるように起こすと、ウエストのくびれが強調されて美しい。人魚のポーズだ。

 くびれたウエストに掌を当てて、そのままヒップを愛撫する。その後で、入念に愛おしむように美脚をなで回した。エリも、上気した顔で誘うように色っぽくオレを見つめる。

「…気に入ってくれたのね。私の脚…どう、好きなんでしょ…もっと欲しいの?」

 甘ったるい声で、エリは意地悪そうにオレの欲望を刺激した。

「…ああ、好きだよ! 欲しい!!」

 野獣の咆哮のように荒々しい息でオレは答える。床に寝転び、ソファから立ち上がったエリは、美脚を見せつけるように器用に脚を動かしてオレの体に這わせた。ナイロン越しの美脚がオレを優しく踏みつける。美女に…いや美脚にすべてを支配され、全裸をさらして横たわる己の無防備さと、ナイロンの甘い感触に包まれてオレは恍惚となった。

 すると、不意にエリが両脚を開いて、オレの顔面に美尻を押しつけてきた。顔面騎乗である。初めての経験だった。

「…脚だけじゃイヤよ…もっと私を感じて。私のオマ××も愛して!」

 パンスト越しながら、初めて触れるエリの女陰がたっぷり濡れているのがわかり、オレの興奮はさらに高まった。エリは自らパンストをずり下げると、花心をオレの口に乱暴に押し当てた。

「ちゃんと舐めて…脚だけじゃなくて、エリ自身を舐めて…オマ××を舐めて!」

 言葉こそ強いものの、エリは懇願するようにクンニを強要した。それに応えて、オレはしばらくエリの花心を深く味わい、甘い蜜をたっぷり吸った。いつしか、エリはオレの男根を頬張り、フェラチオを始めていた。舌づかいや唾液の出し方、強弱のつけ方…エリの技巧は見事だったが、そのままフェラで射精するのは惜しまれた。

「…待ってくれ。ごめん…最後はやっぱり、エリの脚がいい。脚でイキたいんだ…その美脚で射精したい」

「…フフ。そう言うと思ってたよ…」

 オレたちはベッドに移動した。正面から向き合い、あらためてM字に開かれたエリの美脚を観賞する。足裏が男根に伸びてきた。弄ぶように足裏で男根をしごくエリが、興奮をあおって言葉で責める。

「…ああ、こんなに硬くなって…いやらしいわ…。もう、私の脚に夢中なのね…この脚でイキたいんでしょ…。貴方って、脚のことしか頭にないのね…悪い人。私の顔も胸も、オマ××もオマケなんでしょ…ひどい。ひどい…貴方は、エリのこと全然愛してくれない…女の脚しか愛せない人なのよ!…ああ、こんなに勃起してる…脚だけで、私の脚だけでこんなに!」

「…ああ、そうだ…その通りだ…。でも、君の脚…エリの脚は世界一だ! 間違いない…信じてくれ。これからはエリの脚だけを愛して…生きていく…その美脚が…エリの脚だけがオレの人生だ!」

「…絶対よ。ほかの女の脚なんて、忘れさせてやるわ…私も貴方が好きよ…。変態が好き…。もっともっと狂わせる…もっと狂って!…もっとよ。貴方は変態…変態よ…ああ、ヘンタイ…大好き!」

 エリがそう叫ぶのと同時に、オレは射精した…。感激したのは、ほとばしる精液をいつの間にかエリがすべて素手で受け止めてくれたことだ。

「…ほら見て、こんなにたくさん出たよ…」

 無邪気なその笑顔を見て、オレはたまらず彼女の唇を吸っていた。この日、初めのキスだった。

 その日からオレの五反田通いが始まった。それからもエリは、オレの中に眠っていた様々な変態性を大いに呼び覚ましてくれることになるのだった。

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