桜色花師の尻奴隷 第①話

異物肛虐愛

 ――じょりっ、じょりりっ。

 俺の下腹部に旧い型の日本剃刀が宛がわれ、泡に包まれた黒々とした茂みを剃り落としていく。
 剃刀を握っているのは和服を纏った、まだ幼さの残る顔立ちの女子大生「祁答院桜子」だ。真っ黒なロングヘアが似合う、可愛らしい日本人形のような女。
 それが俺の股の間で膝をつき、俺の股間を弄繰り回している。成人男性のペニスが目の前でぶら下がっているにも関わらず、桜子は恥じらうことも戸惑うこともない。それどころか楽しそうに、時折歌を口ずさみながらペニスを掴み、俺の股間をパイパンにする作業に没頭している。
 むしろ恥ずかしいのは俺の方だ。何しろ桜子の殺風景な「作業部屋」で和服姿の女達に囲まれる中、素っ裸に縄化粧という途轍もなく恥ずかしい姿で見事なМ字開脚をキメさせられているのだから。
 俺を囲む女らの視線には様々な感情が伴われている。
 汚物を見るような嫌悪感がにじんだ瞳、興味深そうに細められた瞳、感情の籠らない静かな瞳。俺はそれらに視線を合わせないように俯いた。

 ――ぞり、ぞぞっ。

 とうとう俺のペニスの脇に残されていた最後のひと房が泡とともに落とされた。無毛の下腹部は小学生の頃に戻ったように白々として、何とも恥ずかしい。エアコンから発された微弱な風が下半身を撫でると、心もとない寒々しさに襲われ身を震わせた。
 そこで剃刀を手放した桜子が口元を吊り上げると、俺の剥き出しになった股間に指を無遠慮に押し当てる。ひんやりとした白い指先が太腿のつけ根から陰嚢の表皮まで抵抗なく滑っていく。すると自分の仕事に満足したのか、彼女は手を叩いて破顔した。
「ふふ、上手にできましたわ。固い毛も十分に剃り込めばこんなにもツルツルになるのですね。……永久脱毛ができれば一番良いのですけれど」
「勘弁してください、桜子さん」
 俺は雇い主の桜子の無茶ぶりに苦笑し、首を横に振る。その様子に周囲の女達も困ったように笑った。女達は桜子の家に出入りする人間――俺なりの言い方をするなら、桜子の手下ってやつだ。桜子の言葉に否定的な態度を示す者などいない。
「まあ、残念……よくお似合いなのに。それでは次、お尻の方もキレイにしましょうね」
 俺や女達の反応を意に介さず、どうにも懲りない桜子は俺を縛り付けていたロープを外した。続いて女たちが俺をマットに仰向けに寝かせると、俺の両足をぐいと肩に向かって引き上げる。俺はいわゆる「まんぐり返し」の形になった。俺自身でさえ真っ当にみたことのない秘部――アナルが女達の前で披露されてしまった、というわけだ。
「ふふ、汚い蕾ですこと」
「本当に。毛むくじゃらで獣のよう」
「……っ」
 俺はお上品な姿をした女達の率直な批評に、まるで顔から火が噴き出したような羞恥心を抱いた。しかし俺は女達に逆らうことができない身だ。ただ胸に詰まった息を吐き、目を強く瞑ることしか許されない。
 そうしているうちに女達に両腕が引き上げられた。そして、既に持ち上げられている脚へそれぞれがロープで固定される。こうなればもう、身動きなどとれはしない。脚に腹を圧迫される息苦しさの中で、女達の蔑みの視線から必死に目を逸らすだけだ。
「ええ、ええ。これでまた作業に取り掛かれますね。皆さん、ありがとう! それでは、お尻の穴も赤ちゃんのようにキレイキレイにして差し上げますね。『先輩』!」
 嫌悪と羞恥が入り混じるこの空間で、無邪気に澄んだ声を弾ませるのは俺を「先輩」と呼ぶ桜子のみ。その存在は果たして天使か、悪魔か。
 俺はアナルの周りの毛を刈り取られる感覚から意識を切り離そうと――彼女と出会った日のことを思い出そうとした。

 ――俺と桜子は大学の読書サークルで出会った。
 といっても、俺は体育学部で向こうは美術学部。学年も俺がひとつ上ということで、ほとんど話す機会がなかった。
 だが俺がアルバイト先のジムの閉鎖で収入を失い、アパート代の支払いで困っていた時に彼女から声をかけてきたのだ。
 生け花を作る手伝いをしてみないか、と。
 なんでも実家に同居している祖父が華道の家元だそうで、桜子自身も華道家を目指しているという。
 もっとも俺は華道というか芸術全般に疎く、彼女が熱っぽく話す言葉の大半が理解できない。どうやら作品のモチーフになってほしいらしいということだけは理解できたが。そこで断ろうとした瞬間、桜子は俺の腕をしっかりと掴んでこう言ったのだ。
「お爺様は私の作品に『華はあるが、力がない』と仰いました。先輩の鍛えられた体は必ず私に良いインスピレーションを与えてくださると信じております。お給与も十分な額を用意しますので、どうか、何卒!」
 桜子の大きな真っ黒の瞳は熱っぽく潤んでいて、白い頬が熱を感じさせるほど紅潮している。頭ふたつ分身長差のある可憐な後輩がこんなにも熱心に頼み込む姿を見て、心を動かされない男がいるものだろうか。
 俺が「わかったよ、俺にできることなら」と答えると、彼女はまるで大輪の牡丹が咲き誇ったような笑顔を浮かべたんだ。その笑顔が――まさかこんな地獄に繋がっていたなんて。

「さあ、先輩。お尻の穴もキレイにしましたよ。気持ちいいでしょう」
 俺の意識が桜子の声でにわかに現実へ引き戻された。
 目の前は相変わらずの殺風景な部屋。そこに一人の女が手鏡を持って、俺にアナルが見えるようにかざす。俺の目に映ったものは丸出しのペニスとツルツルの股間、そして頼りなく窄まった無毛のアナル。別の女が俺の無防備な部分に突然「ふっ」と息を吹きかけると、窄まりが怯えるように固く縮こまった。
 初めて見るもののはずなのに、強烈な違和感と恥ずかしさで頭が真っ白になる――途端にペニスが俺の腹に向かって大きく膨らみあがった。
「ぐっ!」
 呻く俺をどこか楽しそうに見つめる桜子。彼女は薄手のゴム手袋をはめると、その指先に舌をからめてぬらぬらと唾液を塗りつけた。
「桜子さん、何を」
「先輩のお尻は『入れる方』はまだなのですよね? でしたら少しでも早く慣らせておくのがよろしいかと」
 しめりを帯びたゴムの指先が俺のアナルの縁をなぞる。いつしかその指はクリクリと円を描くように穴の周りの筋肉をマッサージし始めた。着物の袖が太腿をくすぐるこそばゆさと、これから何が起こるのかという恐怖。括約筋が縮み上がり、肛門が桜子の指を拒むようにキツく窄まった。
「っ……それだけは……勘弁を」
 手足を縛る紐がギチギチと軋む中、俺は息を吐きながらなんとか声を出す。
しかし、女達は含み笑いを浮かべながら俺を見るだけで主の行動を諌める様子はない。
「いいえ、これは契約ですから。いつかはやらなければならないことです。大丈夫、先輩が早く慣れるように私もできるかぎり頑張りますからね」
 念入りに揉まれて解された穴に、無機質なゴムの小指が侵入する。不自由な体勢に痛みと絶望を感じながら、俺は叫んだ。桜子の小指が曲がったその瞬間、信じがたい快感が背筋に奔ったのを否定するように。
「うあっ、やめ……! 嫌だ、こんなのっ……!!」
「あらあら。嫌だ嫌だと言いながらも、先輩の下のお口はとても食いしん坊さんなのですね。初めてなのにあっという間に小指の付け根まで入ってしまいましたよ? 将来有望ですね、うふふ……」
 俺は桜子と女達の嬉しそうな笑い声を聞きながら――意識を手放した。

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